超高速単発過渡イメージング法として知られるSequentially Timed All-optical Mapping Photography (STAMP)法に適用可能な小型光源の実現に向けて、光通信用ファイバ素子を活用した等時間間隔多波長パルス光発生手法の開発を進めた。約100 psの半値全幅を有する電気パルス発生器を導入し、これをトリガとして強度変調器と位相変調器を動作させ、変調出力光を分散補償用のシングルモードファイバ中で伝搬させる実験構成を構築した。本構成を用いることで、1550~1551.5 nmまで0.5 nm間隔の波長差を有する4つのCWレーザ入力光を半値全幅約17 psの短パルス光へと変換することに成功した。パルス光の半値全幅は位相変調器によって加えるチャープ量によって制御され、各パルス光の相対的な時間間隔は入力光の波長とシングルモードファイバの長さによって制御できることがわかった。ここで、強度変調器と位相変調器はそれぞれ時間フィルタと時間レンズに相当し、これらの特性を決定する変調信号波形を適切に制御することで、所望の等時間間隔多波長パルス光が得られるものである。本パルス光を照明として用い、InGaAsカメラによってサンプル基板を観察したところ、スペックルパターンの少ない良好な像を確認することができた。今後、本研究で得られた知見を活かし、本光源のSTAMP法への適用を進めるとともに、フォトミキシング技術を活用したミリ波帯、テラヘルツ帯への光源波長の拡張を計画している。
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