深海4000メートル以下の海底には多量のコバルトリッチクラストがあり、多くのコバルトリッチクラストは海山の斜面に分布している。海底鉱物コアリングを使用する場合は、急峻な崖やチムニー群等の複雑な地形が多く、粉麈が舞い上がりやすい。現在使用している計測システムは、深海熱水鉱床の超高濁度の環境では使用できず、画像の解像度も良くない。そこで、申請者は新たな人工知能を用いた深海採鉱機採削ローラ用画像計測システムの開発を行った。 平成30年度ではスペクトル計測プラットフォームを構築し、水中の鉱物のスペクトル画像に対する画像分割を行った。動的輸郭モデル(Active Contour Model)は、ノイズに対して頑強な境界追跡手法として現在広く用いられている。動的輸郭モデルの代表的な手法として、SnakesモデルとLevel Set Methodモデルに焦点を当て、様々な研究が行われてきた。しかし、これらの手法には、分離や結合など境界の位相変化への対応が困難であることが問題とされており、多領域や複数境界線は求められない。本研究では、Fast Active Contourモデルを利用したスペクトル画像の分割を行った。従来法の計算コストの問題に対し、補助関数の計算が静的な境界追跡手法と等しいことを利用し、AOS法を用いた高速で安定な補助関数の計算手法を提案した。 また、本研究では世界初の23レイヤー Filtering Deep Residual Network(FDRN)を使って高濁度水中目標認識技術を開発し、学習データが存在しないいわゆる教師なし学習モデルにおける画像認識方法を提案した。その結果、従来のResNet等の方法と比較して1%以上の認識率の向上が得られた。これは新たな人工知能モデルを提案し、高濁度水中の画像を強化することにも成功し、泥や粉塵による画質劣化が明らかに改善された。
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