研究実績の概要 |
本研究では,パルス幅変調方式によって駆動する制御系に対し,制御周期内におけるパルス矩形波の数・パルス幅・配置を同時に操作することによって,制御系設計の効率と制御性能を向上させることを目指し,取り組んできた.最終年度にあたる2019年度は,次の成果を得た. (1) パルス生成器と任意の二次線形系の離散時間直列結合系について,パルス生成の自由度を利用した厳密線形化可能性を追究し,その可能性と二次系の固有値,可制御性,制御周期の間にある関係を明らかにした(文献[1])なお,厳密線形化が安定不動点の吸引領域の評価に役立つことや,二次のサブシステムが支配的である高次系に対しても本手法は有効であることを合わせて確認した. (2) 二次・三次の制御対象とパルス生成器の離散時間直列結合系について,結合系の零点の安定性とパルス生成則の関係について考察し,その関係を可観測正準形を利用して状態空間上で可視化する方法を提案した(文献[2]). (3) 実システムへの応用を目指す目的で,高次系への手法適用と拡張について議論を展開した.具体的には,ガルバナスキャナの五次モデルに対し厳密線形化法を適用し,入力飽和やサンプル点間応答等の実用上重要になる性能について考察した(文献[3]). [1] M. Suzuki, M. Hirata: Automatica, Vol.116, 2020 (in press). [2] M. Suzuki, K. Tamekuni, M. Hirata: in Proc. of Asian Control Conference, pp.1199--1204, 2019. [3] 北垣瞭太, 鈴木雅康, 平田光男:第7回制御部門マルチシンポジウム, 2H1-4, 2020
|