研究課題
本年度は,制御システムのプライバシーについて研究を行った.特に,太陽光発電などの環境発電とバッテリーによって稼働する無線基地局の送信電力制御に焦点を当てた.移動体通信ネットワークにおける消費電力は増加の一途をたどっており,本研究で取り扱う無線基地局はそのエネルギー問題を解決する一要素として期待されている.一方で,環境発電は一般に予測が困難であり,バッテリーの充電率が不安定になりやすいという問題があった.無線基地局が高いエネルギー効率で稼働するためには,その近傍に存在するユーザーの数に基づいて送信電力を決定する必要がある.すなわち送信電力は,点在する無線基地局からユーザー数の情報を集約し,大域的な最適化問題を解くことで決定される.そのため,通信が傍受された際,近傍ユーザー数が盗聴され,ユーザー位置に関する情報が流出する可能性があった.これに対して,提案手法では,通信する前に意図的にユーザー数に対してノイズを印加することで,ユーザー数を秘匿する方法を提案した.従来の制御則においてノイズを加えた場合,最適化問題の評価関数と拘束条件が誤差を含むため,制御性能が大きく悪化してしまう.そこで,本研究では,分散最適化の手法を適用することで,拘束条件だけがノイズの影響を受けるアルゴリズムを提案した.従来の集中的な制御則ではノイズが大きくなるにつれてエネルギー効率が急速に低下する一方,提案した分散的な制御則はほとんどエネルギー効率の低下が見られないことを,数値シミュレーションで確認した.また,差分プライバシーの観点から,制御性能とプライバシーレベルの間のトレードオフについて解析を行った.
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