研究課題/領域番号 |
17K14703
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
金田 さやか 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60605567)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 階層化制御システム / 未知環境 / 移動ロボット |
研究実績の概要 |
センサ情報を基準に要素行動を定義し,センサ情報量に応じて階層化する,自律ロボットのための制御アルゴリズムを提案した.平面移動ロボットを想定し,提案した制御アルゴリズムの適用法を具体化した.数値実験により,提案手法の有効性を検証した. 提案したアルゴリズムでは,センサ情報を基準として階層化することにより,層間の競合発生が各センサの検出エラーに対応する.このため,競合発生時にどの階層の出力を優先するかを一意に決めることができる.下位層を優先させることにより,適切に競合を解消でき,期待したとおりの動作が実現できることを数値実験により確認した. 実際には,一層目に接触センサ,二層目に距離センサ,三層目に画像センサをそれぞれ入力とした要素行動を設計することとした.一層目は,接触した情報を感知すると,ロボットを停止させ,進行方向を変化させる{感知―反応}という単純な処理形態の,ミミズのような運動とした.二層目は距離センサをもとに定義された要素行動で,ある程度離れた障害物をあらかじめ検知し,行動予測の上,障害物を避ける行動を設計した.具体的には,距離センサが進行方向の前方に障害物を感知すると,障害物を避ける方向に,速度を落としながら進行方向を変化させることとし,コウモリのような動きを想定した.二層目では一層目と異なり,自らの変化の予測をすることが可能となり,それに従って行動を計画し,実行することができる.三層目は画像センサをもとに定義された要素行動で,目標補足を行う.三層目では目標物の静止・運動状態に関係なく,目標物の姿勢まで検出することで,目標追従できることを想定した. 二層目までの行動アルゴリズムを構築し,数値実験により検証した.2018年ロボティクスメカトロニクス講演会にて発表予定.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
センサ情報を基準とした階層化により,実際には,階層間の競合状態を簡単に解消できることが最大の利点であることが明らかとなった.この競合状態の発生は,既存のサブサンプションアーキテクチャでの課題であるため,該当年度で明らかにした内容は有意義であった. 一方で,実施計画段階では,移動速度の最大化として最下層を学習機構を含む形で実現する予定であった.実際には,学習なしにサブサンプションアーキテクチャと同様の単純な設計だけで移動が可能であることを明らかにした.以上の理由により,当初の計画におおむね沿った形で進展していると言える.
|
今後の研究の推進方策 |
当該年度の成果は,数値実験で提案法の有効性を示すにとどまった.今後は実験による実証,第三層を追加することにより,目標地への移動実現を目指す.
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた小型の2輪ロボットでは,積載重量が非常に小さく,大幅な機能拡張が難しかった.より大型の4WDSローバを購入したため,当初の計画と差が生じた.
|