これまでに,接触型および非接触型の2自由度車輪による全方位移動について研究を行ってきた。今年度は両車輪において問題となっていたチューブの脱落問題に取り組み,保持機構によって一定の解決をみた。 接触型・非接触型の2自由度車輪による全方位移動を行うとき,地面と接触していない外周チューブが脱落するという現象が度々発生してしまっていた。これは,全方位移動がしやすいようにチューブを大きく露出させていたためであり,保持機構が十分ではなかったことに起因することがわかってきた。そこで,全方位移動が可能であり,かつ,脱落することのない保持機構を検討した。 これまでの保持機構はガイドローラがチューブを車輪の中心側から2点のみで支える形となっていた。したがって,横からの力に弱く,チューブの不規則な回転によってガイドローラを容易に乗り越えてしまい,脱落が発生していた。そこで,チューブを包み込むように4点で支える形に設計変更したところ,保持力が向上し脱落現象はほとんど発生しなかった。 提案したチューブ保持機構の保持力を検証するために,まずは直線状のチューブに対して検証実験を行ったところ,脱落することなく特性を測定することが出来た。しかしながら,実際の車輪に組み込んだところ,回転させにくいことがあった。これは外周チューブとチューブの回転軸との接続部に問題があることが判明した。非接触型であれば,このような接続部が存在しないため,この問題は改善できると考えられる。接触型であれば,車輪径を大きくすることで解決できる可能性がある。この課題については,今後も引き続き研究を進め,車いすに搭載することを目指す。
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