研究課題
コンクリート中の鉄筋腐食の要因として、塩化物イオンや二酸化炭素などの化学的要因が一般的に挙げられるが、車両の走行などによる力学的要因も腐食に影響を及ぼすと考えられる。本研究では、力学的要因による不働態皮膜が腐食の起点になるのではないかと考え、力学的要因により発生した腐食を急速ひずみ電極試験法を用いて検討している。前年度は、急速ひずみ電極試験法を用いて、塩化物イオンを含まないコンクリート模擬溶液内でのSD345鋼の応力付与に対する電気化学応答を検討し、力学的要因により不働態皮膜が破壊されても直ちに自己再生(再不働態化)できることを明らかにした。今年度は、塩化物イオンを含まないコンクリート模擬溶液内での応力付与に対する電気化学応答を検討し、塩化物イオン濃度が低い際には再不働態化が進行するものの、塩化物イオン濃度が高くなると再不働態化時に得られる電流の減衰が認められず、再不働態化が阻害されることが明らかとなった。このことは、塩分が多く浸透したコンクリート中では応力のかからない環境と比較して応力により腐食が促進されることを示している。並行して、新たな腐食加速試験法開発のため、腐食の進展を加速する高酸素腐食促進試験(試料に加圧酸素ガスを供給することで酸素還元反応を促進し、腐食反応全体を底上げする手法)の検討を行った。今年度は試料に市販の黒皮付き鉄筋を用いた。その結果、黒皮付き鉄筋でも加圧酸素ガスを供給することで腐食の促進が可能であること、黒皮が存在することで磨き鉄筋よりも耐食性が低下することを明らかにした。
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