2018年度は2017年度に引き続いて,二酸化炭素ハイドレート(CDH)含有地盤の強度-変形特性を表す弾塑性構成式の高精度化および,海底地盤不安定化現象に関する模型実験を実施した。まず構成式の高精度化については,CDH含有地盤間隙におけるハイドレート存在形態を考慮した弾塑性構成式を新たに提案した。これまでの研究によって,たとえCDHの含有量が同じであっても,CDH含有地盤の強度やダイレイタンシー特性が顕著に異なるということが既往の研究から明らかとなっており,その大きな原因としてハイドレート粒子の地盤間隙中の存在形態が指摘されていた。従来のCDH含有地盤の弾塑性構成式においては,CDH存在形態の違いによる力学応答の変化を考慮したものはなく,CDH含有地盤の強度変形特性をより精確に表現することが可能となった。さらに,CDH存在形態がせん断によって変化する現象も新たに構成式に取り入れた。CDH含有地盤に外力が作用すると,土粒子に固着していたCDHの破砕や剥離が起き,一時的に強度や剛性が急激に減少することがある。提案した構成式に存在形態の遷移を考慮することで,強度の最大値だけでなく,強度発現過程の再現も可能となった。 また,昨年度に整備した模型実験装置を用いた海底地盤不安定化現象に関する実験を実施した。この実験では,海底地盤内でCDHが分解することを想定し,海底地盤を模擬した砂地盤に流体圧を加圧した際の地盤変形挙動の観察を行った。特に,海底地盤におけるGHの分解が大規模な海底地すべりを引き起こす可能性が指摘されているため,模型地盤を傾斜させ間隙流体圧上昇時の海底地すべり挙動について観察した。その結果,地盤内に不透水層が存在する場合に特に大規模な地すべりが発生し,また,地すべり発生の主な要因として間隙圧力の大きさだけでなく,地盤内に圧入される流体の流量も重要であることが明らかとなった。
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