研究課題/領域番号 |
17K14730
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
赤穂 良輔 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (90599333)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 浮子観測 / 数値シミュレーション / 水路実験 / 旭川 |
研究実績の概要 |
1.データ収集・整備:現地観測に先だち,各観測所における観測流量の誤差の特性を把握するため,近年の出水ごとの流量と水位の時系列観測データおよび浮子観測の計算書を河川事務所に依頼中である.また,旭川の横断測量データおよびALBデータを用いて準三次元解析に用いる河床地形高データを作成した. 2.現地観測の準備:出水期前に,実際に浮子観測が行われる中原橋(旭川)の現地視察を行った.浮子の軌跡を撮影するビデオカメラの設置位置について検討を行った結果,設置場所は,浮子が投下される橋上と第一・第二見通し線間の堤防上の2か所とした. 3.現地観測:当該年は,大規模な出水が生じなかったため,現地観測を実施できていない.ただし,旭川ではADCPによる流量観測が,洪水発生時に実施される予定となっており,今年度も引き続き,現地観測体制を整えておく.なお,浮子観測が行われる規模の出水が発生するかは不確定なため,水路実験と既往洪水の浮子観測データのみでも本手法の構築が可能なように構成している. 4.水路実験の準備:当初の計画から変更し,旭川と百間川の分流部に設置された幅2mの水路を用いた,現地実験を実施することに変更した.当該年度では,水路に関する測量および浮子投下の実験方法の再検討および試行実験を実施した.また,水路内に設置する模型形状については,準三次元モデルを用いた数値実験より検討することとし,準備を進めている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
浮子観測が行われる規模の出水が発生しなかったことに加え,旭川の中原橋周辺に位置していた砂州を掘削した影響により,既往洪水における浮子の軌道と実施予定の現地観測における浮子の軌道を比較は,浮子観測の観測精度の向上に関して検討する上で重要となった.そこで,既往洪水のデータ収集および整備は,より時間をかけて実施することにし,3,4年目に行うよう計画を変更した. 旭川分流部における水路を実験に用いる許可が得られたため,当初研究室が保有する幅40cmの直線水路からの計画変更を行った.それに伴い,当該年度では水路実験の測量や浮子実験方法の検討に注力し,また模型形状の検討を数値実験より行うよう変更したことに伴い,当初計画からの遅れが生じている.
|
今後の研究の推進方策 |
1. 準三次元モデルの準備:本研究では,表層流速の再現性を向上させるために,水平流束の鉛直分布を従来の一次関数から高次関数に変更した準三次元モデルを作成する予定である.同様の研究は灘岡らによって提案されており,本研究では,三角形非構造格子へ拡張することで,より実際の河川へ柔軟に適用できるように改良する.今年度は,高次関数を用いたプログラムの作成に概ね時間を割く予定である. 2.三次元モデルの準備:本研究では,申請者の研究室で所有している三次元解析ソフトのOpenFOAMより流れ場を再現する.ニ年度は,水路実験の再現計算に必要な形状データ(STLデータ),境界条件データの作成と,申請者の研究室が過去に実施した水路実験の再現計算を実施し,計算モデルの調整を行う. 3.現地観測:初年度に計画した観測を,複数の出水を対象に実施する予定である.複数の出水に同様の観測を行う理由は,出水規模および出水波形の違いによる観測精度への影響を把握するとともに,準三次元モデルによる洪水流況の再現性と測線の修正方法の妥当性を検証するためである. 4.水路実験:当初計画していた室内実験から現地実験に変更する.上流端流量はポータブル流速計および水位計より推定し,合わせて実河川と同様に浮子観測およびビデオ映像から浮子の軌跡線を画像解析法を用いて推定する.なお,測定機器および画像解析ソフトについては,一通り研究室で所有しており,予算申請内容については変更はない.
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で実施予定の室内実験について,現地実験に変更したことに伴い,実験用の物品および消耗品の購入を次年度使用する計画に変更したため次年度使用額が生じた.また,江の川への現地視察を次年度に遅らせたことにより次年度使用額が生じた.
|