研究課題/領域番号 |
17K14742
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
大野 暁彦 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 講師 (00758401)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | グリーンインフラ / 用水路 / 保全活動 / 玉川上水 |
研究実績の概要 |
玉川上水分水網および沿川緑地について、昨年度までの成果で得た基礎情報をもとに具体的な事例でより詳細の空間構成や利用形態を把握するため、関係自治体へのヒアリングおよび私有地内の緑地実測調査を行なった。また、これまでの成果をまとめて海外で開催された2学会にて発表を行なった。 1)実測:2017年度には十分実施できなかった江戸や明治期から残存している重要な遺構や緑地(庭園・寺社地など)について、現地で実測調査を行い図面資料を作成した。2018年度について実測1箇所、見学許可2箇所可能であった。1箇所について、許可を得てトータルステーションを用いて、平面情報だけでなくレベルも同時に計測した。緑地の微地形が把握でき玉川上水分水網との高低差が把握されたが、幾度となく改変されており、すでに通水は不可の状態にあった。見学できた2箇所は水路との関係は失われており、管理者へのヒアリングから管理不足が大きな要因であることが理解できた。 2)ヒアリング:2017年度は市民団体などへのヒアリングが完了したため、2018年度は、行政および沿川緑地所有者などへヒアリングを実施した。実測できた1箇所および見学できた2庭箇所については緑地所有者へのヒアリングが行えた。また、2017年度実施した行政へのヒアリング結果から、小平市の分水沿いの公園や保全緑地事業に特徴があることがわかったため、沿川の公園および保全緑地それぞれ整備過程についてさらにヒアリングを重ねた。しかしながら、担当者の移動などで具体的な整備過程までは明らかにすることができなかった。 3)研究成果の発表:2017年度は研究成果が十分ではなかったため、2018年度は国際学会2学会(ISIAIA韓国大会およびIFLAシンガポール大会)にて、成果を発表した。様々な国の研究者と交流ができ、今後の研究を推進する上でのアドバイスを受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度以降において研究機関を異動したため、現地調査回数が予定実施回数に比べて少なく、利用実態調査は当初の計画通り実行できていない。しかし、2019年度に実施予定であった成果発表は2018年度に実施でき、おおむね順調に進んでいるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後推進する項目は以下の3点である。 1)広域的な視点からの分析:オリンピックを契機に玉川上水網の活用に向けたシンポジウムや勉強会が活発に開催されるようになり、玉川上水網の価値が再評価されている。そこで、今後は広域的な観点からグリーンインフラとしての評価を実施することを次年度実施していく方針で考えている。 2)利用実態調査:2018年度は利用実態調査がほとんど実施できなかったため、2019年度に実施する方針でいる。しかし、研究機関が異動したこともあり、調査日は限定的になることから、実地での長時間の調査は難しく、新聞や文献資料などによる調査へ変更することを検討する。 3)研究成果の発表:2019年度も引き続き研究成果を広く海外に向けて発表していく。特に世界的にグリーンインフラは大きなトピックであるものの、日本版グリーンインフラのあり方は世界に向けてさほど発信されていない状況にあるため、積極的な発信が必要であると考えている。 4)保全に向けてのガイドライン作成:2019年度は最終年度にあたるため、研究成果をまとめるだけにとどまらず成果を応用して今後の保全に向けたガイドラインを作成する。ガイドライン作成にあたっては、国内外の研究者との交流を実施し、内容の充実を図りたい。
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