研究課題/領域番号 |
17K14747
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飛野 智宏 東京大学, 環境安全研究センター, 助教 (90624916)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 膜分離活性汚泥法 / 膜ファウリング / 活性汚泥 / 微粒子 / フローサイトメーター / 蛍光染色 |
研究実績の概要 |
本研究は、膜分離活性汚泥法における膜目詰まり機構の解明および制御・予測技術の発展に資する知見を得るために、これまであまり着目されてこなかった活性汚泥フロック外微粒子に着目し、その量や組成、時間変動を明らかにするとともに、膜目詰まりとの関連について検討することを目的としている。 本年度は、汚泥フロック外微粒子の分析手法の検討を進めた。異なる細胞成分を染色可能な蛍光染色剤を複数用意し、モデル微粒子として大腸菌およびファージを対象として、染色条件およびフローサイトメーターでの検出条件を検討した。大腸菌に対しては、核酸および脂質染色により明確に細胞を検出可能であることが確認された。一方で、タンパクおよび多糖類染色ではノイズが大きく、フローサイトメーターでの蛍光検出には適さないことが判明した。また、ファージ粒子はいずれの染色剤でも明確なピークを得ることができず、さらなる染色条件の検討が課題として残された。物理的に破砕した大腸菌細胞に対して最適化した染色および検出条件にてフローサイトメーターでの蛍光検出を行った結果、物理破砕後の大腸菌細胞断片を無傷の細胞と区別して検出でき、実試料中に存在すると想定される死細胞断片の検出が可能であることを支持するデータが得られた。 膜分離活性汚泥法リアクターの運転を開始し、採取した活性汚泥試料に対して、当手法を適用した。モデル試料の場合と比べて特段ノイズが高いといったことはなく、当手法を問題なく適用可能であることが確認された。検出結果から、大腸菌と比べて核酸および脂質含有量の小さい微粒子の存在を検出できた。また、汚泥フロック外微粒子の挙動に影響を与えると想定される微生物間情報伝達物質濃度を質量分析にて分析し、膜ファウリングとの関連に関する議論の基礎データの蓄積を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リアクターの連続運転データについては、データの取得を開始した段階にあるものの、純菌株を使用した基礎的検討から実リアクター試料の分析まで当初予定した計画に沿って実施できているため、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度確立した分析条件を用いて、実験室リアクター試料の分析を進める。連続運転データの蓄積および膜ファウリングとの関連の高い微粒子成分の探索およびその時間変動に関する知見を得る。並行して、今年度の課題として残ったファージ程度の大きさの微粒子の検出方法の検討を進め、当手法で捉えることが可能な微粒子の限界を明確にする。
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