研究課題/領域番号 |
17K14762
|
研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
焦 瑜 東京都市大学, 工学部, 准教授 (40632493)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 鋼構造柱梁接合部 / 塑性変形能力 / 繰り返し載荷実験 / 応答解析 / Manson-Coffin式 / 累積損傷度 |
研究実績の概要 |
地震力を受ける梁降伏型鋼構造骨組では、柱梁接合部の塑性変形によってエネルギーを吸収する為、接合部の塑性変形能力を正確に把握することが骨組の耐震性能を正確に評価することに寄与する。既往研究では、一定振幅繰り返し載荷を受ける鋼構造柱梁接合部の塑性変形能力を変位振幅と破断までの繰り返し回数の間のManson-Coffin 型の相関関係を用いて評価する方法が用いられている。しかし、既往の研究では、鋼材や接合部の詳細の違いによって、柱梁接合部は3つのグループに分けられ、それぞれの評価式が異なる結果が報告された。一方、鋼材においては歪振幅に着目する事で異なる素材においても統一的に評価できることが既往研究で明らかになっている。 前年度までの研究では、鋼種や接合部の詳細の違いに関わらず、鋼構造柱梁接合部破断箇所の歪振幅に着目する事で破断までの繰り返し回数との間にManson-Coffin 型の相関関係が存在することを明らかにした。本年度では、前年度提案したManson-Coffin 型評価式の精度を高めるため、歪硬化の影響で歪振幅が大きくなる第一サイクルの影響、及び改良型スカラップと従来型スカラップの違いを考慮し、以下の2つの条件のもとで評価式を修正し、線形累積損傷度(D)値の精度を向上させた。 (A) 線形累積損傷度の平均値が 1 になる;(B) 線形累積損傷度の標準偏差が最小になる そして、ランダムな載荷を受ける鋼構造柱梁接合部の繰り返し載荷実験を行い、修正評価式とMiner則によって損傷度評価を行うことで提案した式の妥当性と汎用性を確認した。実験では、地震のようなランダムな載荷履歴を求めるため、実際計測された2シリーズの連続地震動(東日本大震災仙台仙台サイト及び熊本地震熊本サイト)を入力し、低層鋼構造骨組の応答解析を行い、応答が最も大きい梁端の変形履歴より、載荷履歴を作成した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では、試験体を制作し、実験を行い、鋼構造柱梁接合部の塑性変形能力評価式を提案・確認した。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでのデーターベースでは、変位振幅が大きい一定振幅繰り返し載荷を受ける試験体とランダムな載荷履歴を受ける試験体が極めて少ない、今後、まずは載荷履歴と接合部形状の多様性がある試験体を増やし、評価式の適用範囲を広げ、精度を向上させる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
柱梁接合部の有限要素解析を行うため、有料解析ソフトAbaqusを導入する必要がある。2019年度では、無料の学生バージョンで解析モデルの初期検討をしてから、正式バージョンを導入する予定である。そのため、一部の経費を2020年度に回した。
|