建築環境工学における主な課題の一つは,目に見えない空気流動を数値解析で把握し,適切な換気・空調計画を行うことである。しかし室内で動く物体であるドア,窓,人体などは静止している状態を想定して数値解析を行なうことが多く、物体移動を組み込んだ検討事例は非常に少ない。動く物体に関する数値解析は機械・医学分野で研究が始まっているが,実験と数値解析の対応関係についての検討がまだ不十分である。そこで本研究の成果は,移動物体の影響を組み込む数値解析方法を明確に確立しつつ,受動喫煙による健康リスク低減のための喫煙室設備の計画方法を提案したもので,建築環境工学のみではなく,医学・健康学分野にも学術的価値が高い。
|