研究課題/領域番号 |
17K14777
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
梅本 舞子 筑波技術大学, 産業技術学部, 講師 (30746532)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 訪問型保育 / 預かり型保育 / 一時預かり / 子育てネットワーク / 住環境 |
研究実績の概要 |
本年度はまず、本研究が対象とする4タイプのうち、都心の民間サービス利用者として、千葉市のNPOによる一時預かりサービス利用者を中心に、アンケート、ならびにヒアリング調査を実施した。内容は①自宅訪問型保育の利用実態や今後の希望、②預かり型保育サービスの利用実態や今後の希望、③預かり型を利用する際に望ましい場所や自宅からの距離、④友人へ子を預けた経験の有無やその際のお礼の内容、⑤回答者の家族構成や祖父母世帯との近居の別、⑥間取りを含む自宅の詳細についてである。12月上旬から子育て広場にて配布、1月中を期限として定め、郵送による回収を行った。その結果、52世帯より協力を得ることができた。 当データにより、課題①保育サービスや利用者の育児環境(祖父母世帯との近居の別や住環境等)の違いから相対的に訪問型保育への評価を捉えることができる。つまり、育児サービスへのニーズの違いを構造的に明らかにできるデータであり、今後の日本で拡充すべきサービスを検討する上で貴重な資料となることが期待できる。 また本年度は、10月から11月に、関東で一時預かりを展開する民間の2事業者へのヒアリング調査も実施した。内容は、自宅訪問型や一時預かりの事業性(費用対効果、人員確保の困難性等)、ならびに代替サービスに対する意見である。後者の代替サービスとは、利用者アンケートによって見出されたニーズであり、不定期の自宅以外での一時預かりである。具体的には、運営費と場所(家賃負担)とでサービスタイプを数種設定した上で、各々の実現可能性や課題を問うた。このことを通して、「地域の居場所を活用した地域住民による(保育ではない)託児サービス」に可能性を見出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、サービス提供側に対する提案検証調査により、代替サービスの具体的なあり方を見出すことができた。しかしながら、年度当初予定していた、利用者アンケートの結果をまとめた審査付き論文への投稿が遅れている。本年度分を合わせて投稿することを目論んだためであるが、2年分の調査データ約300件の分析を早急に進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、これまでの調査で見出された代替サービス「地域の居場所を活用した地域住民による託児サービス」について、利用者側、並びにサービス提供側への提案検証調査を中心に実施する。調査対象は、未だ実施できていない首都圏郊外部の公共、並びに民間サービスを想定している。事業者に対してはヒアリング調査を、そして利用者に対しては、各々100件程度の回収を目指したアンケート調査を実施する予定である。 また、就業状況や両親との近居の有無など、育児環境の違いの影響を考慮しつつ、利用者自宅への訪問インタビュー調査も50件程度実施することを目指しており、これによって閉鎖的住環境の弊害についての詳細分析も進める。 以上を通して、育児サービスへのニーズの違いを構造的に明らかにしつつ、拡充すべき地域の子育て支援ネットワークのあり方への提案、並びに開放型住環境の必要性についても言及するものである。
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次年度使用額が生じた理由 |
利用者へのアンケート調査数、並びに事業者へのヒアリング調査数、また分析補助者への謝金額が当初予定よりも少ない結果となった。そのために、アンケート郵送料や謝礼、交通費等に余りが生じたものである。 また、完了できていない審査付き論文への投稿料も未消化分として残っている。 これらは、最終年度に実施予定であり、最終年度に必要な経費として計画している。
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