研究課題/領域番号 |
17K14777
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
梅本 舞子 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (30746532)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 一時預かり / 地域の福祉拠点 / 多機能複合拠点 |
研究実績の概要 |
2021年度は最終年度として、これまでの調査で見出された代替サービス「地域の福祉拠点を活用した地域住民による託児サービス(以下、地域福祉拠点活用の託児サービス)」について、利用者側への提案検証調査を実施した。 調査対象は、首都圏郊外部に立地する民間による一時預かりサービスの利用者とした。事業者の協力を得て、サービス利用者が最も多くなる2月から3月末にかけて、3箇所の事業所にて、合計250部のアンケートを事業者スタッフにより配布してもらった。アンケートでは、①一時預かりサービスの利用実態と今後の利用意向、②地域福祉拠点活用の託児サービスの利用意向、③家族構成や祖父母からの子育てサボートの頻度、④住環境の4点を尋ねている。感染症拡大禍でより拡大したことが想定される、徒歩圏内を中心とした日常生活圏での預かりニーズ、在宅ワーク時での預かりニーズ等、預かりの「場」や「場面」のニーズの変化にも注意を払いつつ、質問項目を設計した。 また、アンケート協力者の中からインタビュー調査協力者を募集し、オンラインにてインタビュー調査を実施している。アンケートで尋ねた内容についてより詳細に尋ねるとともに、日常の子育て環境について、住宅地図を用いながら地理的な特徴も捉えようとするものであり、反構造化インタビューとしている。 以上の調査を2022年3月末時点で継続中であり、分析は2022年度に及ぶことになる。 また、提供者側への提案検証調査については、本アンケートの分析により、より利用者側のニーズを明確にした後に、当該調査に協力いただいた民間事業者に対して実施予定である。 なお当初、公共の一時預かりサービスの利用者や提供者への調査も予定していたが、感染症拡大により、そもそもサービスが提供できていないケースが多いことがわかったため、調査は民間事業者を対象に実施することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アンケート調査回答者が多く見込まれる時期の年度末に調査を実施したため、結果的に2022年度まで研究が及ぶこととなった。また、公共の一時預かりサービスは前述の通り感染症拡大禍でサービス自体が機能しておらず、調査対象となり得なかった。しかしながら、おおむね予定通りの量的調査を遂行できている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度末に実施したアンケート調査、並びにインタビュー調査について分析し、査読付き論文を執筆する。本分析によって、自宅(訪問型保育)でもなく預かり手の家でもなく施設での一時的な預かりが求められていること、その要因は1つではなく母親の就業状況により多様であること、一時的な預かりに求められるサービスの内容や質と通常の保育とは別物であること等を示すことができそうである。 また、分析結果を持って、事業者側に対して「地域福祉拠点活用の託児サービス」の実現可能性や課題についてインタビュー調査を実施する。 以上を通して、育児サービスへのニーズの違いを構造的に明らかにしつつ、拡充すべき地域の子育て支援ネットワークのあり方への提案、並びに開放型住環境の必要性についても言及する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年2月より開始したアンケート調査やインタビュー調査は、2022年4月半ばまで継続予定である。 一時預かり事業者によるアンケート配布の委託費、アンケート回収にかかる郵便料金、調査協力者への謝礼費用として使用予定である。
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