研究課題/領域番号 |
17K14781
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
猪八重 拓郎 佐賀大学, 工学系研究科, 准教授 (00448440)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 複層的交通網 / 人口予測 / 水害 / 都市施設 |
研究実績の概要 |
まず,国勢調査の男女別人口より地理情報システムを用いてコーホート法により2035年までの佐賀低平地における人口予測を行った.また,人口予測の結果を水害情報と空間的に照らし合わせることにより,水害リスクの高低を明らかにした. さらに,マルチモーダルネットワーク(徒歩,自転車,バス,鉄道)を構築し,都市施設(学校,病院,商業施設)や現在人口・将来人口の集積を重みとした複層的中心性をMCA(Multiple Centrality Assessment)を用いることにより算出した.その結果,都市機能として充実している箇所を識別することができた. さらに,水害リスクと都市機能を空間的に照らし合わせることにより,市街地の集約の可能性の高い場所と低い場所を抽出することができた.また,都市施設のカバー圏域を基に都市機能の誘導を積極的に図るべき候補地の検討と都市施設の新設による効果(将来人口カバー率)の検証を行った. また,人口集積と都市機能の必要量の関係性を捉えるために,現在人口集積と住環境(駅,コンビニエンスストア,スーパー,役所,公民館,銀行,郵便局,学校,病院,福祉施設,保育所,警察署,都市公園,文化施設,スポーツ施設のカバー率)の重回帰式を構築し,人口集積に対する住環境の影響度を明らかにした. さらに,住環境指標を用いた主成分分析により,都市構造の総合的評価軸を抽出し,都市構造として評価の高い地域と低い地域を識別することができた. 以上の結果から,佐賀低平地における市街地の集約化のポテンシャルを顕在化することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通りに進んでおり,さらに次年度に行う予定であった交通ネットワークから見た集約化の限界点の推定まで行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,まず人口と必要な都市機能量の算出及び高層化の限界点の推定を行う.その上で,総合的な市街地の集約化の限界点を導出し,現行の都市計画制度下で集約化を行っていくことの問題点について明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
設備備品としてワークステーションを購入する予定であったが,複数のパソコンで分散的に作業を行うことになったため,今年度は購入したなった.また,学会発表を予定していたが,研究成果が出たタイミングと学会発表のタイミングが合わなかったため,旅費が発生しなかった.さらに,多くのデータ整理を卒論・修論の一部として行ったため謝金がほとんど発生しなかった. 次年度は,統合的に多くのデータを扱うため,ワークステーションを購入する.また,今年度発表予定であった分も含めて学会発表を行うため,旅費が発生する.さらに,今年度分散的に作業を行ったデータを統合するためにデータ整理補助の謝金が必要となる.
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