研究課題/領域番号 |
17K14783
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
西野 雄一郎 福岡大学, 工学部, 助教 (30783708)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Co-Renovation / リノベーション / 建築再生 / まちづくり / 繋がり / ヒト・モノ・コト |
研究実績の概要 |
既存ストックの利活用・再生が進められるなかで、本研究は、利用者主体のリノベーション(以下リノベ)を媒介とするヒト・モノ・コト・空間の連鎖的ネットワークをCo-Renovation(以下CR)と定義し、着眼する。CRが、リノベの枠組みを「建築単体の一時的な保存と改修」から「建築単体から地域まで含めた持続的な活用と再生」へと転換し得ることを検証し、CRの促進条件と有効性の解明を通して、実践に向けた計画技術の確立を目指す。 リノベが継続的に実践されている地域を選定し、本年度に予定していた1.CRを促す制度・マネジメントに関する調査と2.リノベの事業性に関する調査、および次年度に予定していた3.リノベプロセスの実態と特性に関する調査、4.リノベの相互関係と独自性・公共性に関する調査、5.リノベやCRを促すソフトの効果に関する調査と6.CRによるコミュニティと建築・まちへの意識に関する調査を行なった。 以上の調査結果をとりまとめ、日本建築学会大会において口頭発表するとともに、来年度の大会学術講演梗概集に梗概2編の投稿を行なった。梗概では、岐阜県郡上市八幡町と大阪府堺市七道においてリノベが地域内で連鎖的に生起する実態とそれに伴う繋がりの特性を示した。その結果、まちづくりを意図してリノベを事業展開する1企業や個人の取組みには新たな繋がりの形成を期待できること、気軽に利用でき情報が集まる機能(カフェ等)・機会(イベント等)が連鎖的なリノベと繋がりを生起すること、繋がり-リノベの連鎖的・相乗的な関係がCRの醸成を促すこと等を明らかにした。 また最終年度に予定していた、CRの計画技術を実践の場へ展開する試みに関して、具体的な地域を設定して役所、公民館、不動産会社や地域住民らと空き家のリノベについての意見交換を行なった。さらに、空き家調査を実施する予定であり、研究成果の実践に向けた準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度に予定していたリノベの事業者・推進者へのヒアリング調査を実施したことに加え、リノベの実施者と地域住民へのヒアリング調査や研究成果の実践展開に向けた準備といった、次年度以降に予定していた研究にも着手することができた。また、研究の結果を学会で発表している。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、平成29年度と同様の調査を他地域でも行ない、リノベが地域内で連鎖的に生起する実態とそれに伴う繋がりを把握する。各地域のリノベと繋がりとの因果関係を考察し、地域間の比較分析を通してCRの促進条件の共通点と相違点を明らかにする。また、研究がまとまり次第、査読付き論文へ投稿する予定である。 平成31年度は、追加調査を行いながら、前年度までの研究成果をとりまとめ、CRの有効性と促進条件との相互関係を総合的・体系的に分析し、CRの有効性を最大化する計画技術の提起を行なう。また、研究成果を社会に発信し、実践展開を進めている地域の行政・建物所有者・事業者等との議論を通して、計画技術の精度を高めながら実践の場への適用を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の目標を達成する研究調査の回数が予定より少なくて済んだため、次年度の旅費とする目的で未使用額分を使用しなかった。
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