最終年度は、前年度に収集した資料整理を行い、終戦直後の都市計画法改正の検討実態を考察した。この検討過程では、都市計画法改正と広域都市計画と位置付けられる地方計画の法制定を区分して進めるアプローチ、都市計画と地方計画を統合した法制定を目指すアプローチ、2つのアプローチから法制定の可能性が模索されていた。中でも、都市計画法の単独改正においては、地方都市主体の都市計画の立案・事業実施を進めるための規定提案と、市街地建築物法の集団規定との位置付け整理が目指されたことを明らかにした。これに加え、最終年度が市街地建築物法・旧都市計画法制定から100年を迎える年であったことから、市街地建築物法から建築基準法に至るまでの改正点の整理を行うなど、記念出版や関係の論考執筆を進めた。また、6大都市の都市政策の変遷を考察するなど、発展的な研究にも取り組むことができた。 期間全体を通じて、終戦直後の建築・都市計画法規検討が、①地方計画法の制定、②特別都市計画法の制定、③都市計画法と市街地建築物法の改正、④土地法の立案といった4つの方針から進められ、(ⅰ)都市周辺部の計画的介入を地方計画として制度化し、都市計画と関係を持って整備・規制を行うこと、(ⅱ)都市計画法内に土地区画整理を位置付け基盤整備と規制の枠組みを一体的に運用すること、(ⅲ)建築法においても単体規定のみならず、都市像を念頭に置いた積極的なゾーニングにより市街地像を調整・誘導する機能を高めることが提案され、 (ⅳ)市街地・農地といった土地の扱いについても法制定を目指す動きがあったことを明らかにした。加えて、詳細に規定を考察する中で、都市計画法・建築法の両方で類似の規定が検討される実態を把握するに至った。
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