研究課題/領域番号 |
17K14795
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
加藤 悠希 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (80790815)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 神社 / 本殿 / 復古 / 形式 / 神明造 |
研究実績の概要 |
本研究は、近世における神社建築の復古像の実態を解明しようとするものである。3年目にあたる今年度は以下の作業を行った。 1.近世の神社本殿における形式・意匠について、神明造や住吉造といった古風な形式とみられるものにどのような関心が寄せられたのか、という点を中心に文献や絵画資料などから事例を収集した。結果として、千木・鞭懸などへの関心の強さがうかがわれる一方で、独立棟持柱に対する関心はあまりみられないことなど、近世における関心の所在を検討する手掛かりが得られた。一方、一般的な流造本殿における復古的傾向について、組物の不使用や妻面における豕扠首の採用など、いくつかの要素に着目して整理・考察を試みたが、こちらは十分な成果に至らなかった。引き続き情報収集につとめるつもりである。 2.近世における神社本殿の形式概念のあり方について検討を行い、神社本殿の形式が分類されることの意味と、形式の選択が必然的に伴う模倣という性格についての考察を、論文「神社本殿における形式の選択と模倣」として執筆した(近刊予定)。また、これまでの研究成果について、論文「近世における内裏の復元考証」(『文化遺産と〈復元学〉』所収)および『日本の建築文化事典』所収の神社関連項目(「神社」「神宮(伊勢)」「大社(出雲)」「本殿」など)として発表した。 本研究課題は本来2019年度が最終年度であったが、所蔵機関の臨時休館により閲覧できない資料があったため、補助事業期間の延長申請を行った。次年度に資料調査を実施し、その結果を踏まえたうえで、最終的な成果を論文としてまとめることとしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた方針を一部途中で変更したが、見合った成果は得られている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度補足調査を行なったうえで、成果を論文としてまとめることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を行う上で、神宮文庫所蔵資料を利用する必要が生じたが、2019年3月末まで耐震補強のため休館であったため、補助事業期間延長手続きをして、2020年度に調査を行なうこととした。
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