最終年度は、これまで現地調査を行えていない民衆駅のうち、次の駅を対象に調査を行った。北海道の旭川駅、札幌駅、帯広駅、釧路駅、岩見沢(計画のみ)、関東の宇都宮駅、水戸駅、池袋駅(東西)、川崎駅、鶴見駅東口、横浜駅西口である。年度末に実地調査を計画していたが、新型コロナウイルス危機のため調査を取りやめた。本年度が最終年度のため、本研究では次の駅の実地調査は叶わなかった(金沢駅、高岡駅、富山駅、福井駅、新潟駅、沼津駅、和歌山駅、松江駅、徳山駅、西鹿児島駅)。上記実地調査未実施地区については、市史等の自治体史や地図資料を中心に資料調査を行うことで、都市との関係、建設の経緯を可能な限り把握することで、当初計画した全55の民衆駅を分析した。 本年度は北海道の民衆駅について重点的に調査を行ったが、資料調査のなかで、計画と調査が行われたものの建設されなかった岩見沢駅の民衆駅化に関する資料が見つかった。建設された民衆駅だけでなく、全国で計画はされたものの実施されなかった駅があったことが明らかになり、実施にいたった55の駅と、未完となった駅の違いについて、戦後都市形成との関係から検討を行うことができた。 本年度は研究成果として東京の民衆駅について公表したが、本研究全体の成果は書籍としてまとめ刊行することが決まった。仮題「駅ビルの戦後史」として、2020年度中の刊行を目指す。
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