本研究は、東南アジア研究に関する新たなアプローチとしての「港市国家」論および海域アジア研究等の関連周辺研究の成果を援用する学際的なものであり、また造営尺度とその運用方法である建築設計技術という一連の対象に、陸域・海域に跨がる複数のネットワークの重なりを見出した点が、これまで提示されていない視座であり、ある程度の生産組織の長期間の交流を基礎とする技術の一つとして、造営尺度と建築設計技術についての解明がなされるとともに、技術レベルや技能といった、伝達の難易の差と、伝わるネットワークの陸域・海域の差に関連性に言及した点に意義があると考える。
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