研究課題/領域番号 |
17K14803
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
高橋 啓介 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 情報統合型物質・材料研究拠点, NIMSポスドク研究員 (80759481)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 原子クラスター / 人工結晶 / 機械学習 / マテリアルズインフォマティクス / データベース / 第一原理計算 |
研究実績の概要 |
原子数個から原子クラスターを原子1つと考え、原子クラスターを周期的に配置した人工的な結晶の設計を第一原理計算を基盤に実施した。人工結晶は原子クラスターデータベースを作成しながら行い、主要な結果として鉄6原子からなる鉄クラスターを周期的に並べることにより、Fe6クラスターを原子1つした体心立方格子の新規材料の設計に成功した。この材料は高磁性を持つだけでなく特有なバンドギャップを保有することを突き止めた。 さらにホウ素や炭素を添加することにより磁性・バンドギャップを制御できることも明らかにした。またアルミニウム原子とリン原子を交互に配置し8角形の新規ナノチューブを設計することにも成功し、欠陥を導入することにより高い反応性があることも明らかにした。 機械学習を適用するため、文献の材料データベースに機械学習を使った材料予測を試みた。結果として1万5000件のペロブスカイトのデータを機械学習により学習させた結果、9000件の未発見太陽電池の発見に成功し、第一原理計算による実証にも成功した。ヘロブスカイトのバンドギャップを決定する記述子18個も特定した。また216件の薄膜(2次元材料)のデータより機械学習により学習させた結果、7件の未発見高磁性薄膜の発見と第一原理計算での実証に成功した。同時に薄膜の磁性を決定する記述子が4個特定された。このように出口課題である磁性材料の発見に寄与した。このように機械学習を材料データへの試験的導入にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は原子クラスターの構造探索のためのベイシンホッピング法などのアルゴリズムを改良し高速化しただけでなく、第一原理計算をハイスループット化したことにより当初の予想以上の原子クラスターデータが構築された。それにより2つの人工結晶の設計成功だけでなく、機械学習を材料データへの試験的導入にも成功しため、今後の人工結晶探索に有効という確証が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
改善したベイシンホッピング法とハイスループット第一原理計算を継続して行い、今後は原子を置換した原子クラスターのデータ化を行いデータベースの作成を継続する。同時にデータ化した原子クラスターデータに機械学習を適用し、機械学習による原子クラスターデータベース作成の高速化に挑戦する。同時に機械学習を用いた人工結晶設計の可否を形成エネルギーの予測を行うことで高速化する。対象とする結晶構造もBCCだけでなく、FCC、HCP、2次元材料と拡大していく。
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