研究課題/領域番号 |
17K14807
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
清水 荘雄 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (60707587)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ハフニウム酸化物 |
研究実績の概要 |
初年度にあたる平成29年度は、(1)HfO2基エピタキシャル薄膜における方位依存性のほか、(2)HfO2基エピタキシャル薄膜の相転移温度についての調査、また(3)HfO2基薄膜におけるドメインスイッチングについて検討した。 (1) HfO2基エピタキシャル薄膜における方位依存性については、(111)イットリア安定化ジルコニア上に成長させたHfO2基エピタキシャル薄膜について、種々の組成や膜厚に対して斜方晶構造が安定化する要因について検討を行った。実験の結果、これまでに報告した(100) イットリア安定化ジルコニア基板上の薄膜と比べると組成及び膜厚ともに狭い範囲において強誘電相である斜方晶相が安定化することが分かった。また、バッファー層による影響を調べた結果、歪の緩和状態によって安定性が変化することも明らかになった。 (2) HfO2基エピタキシャル薄膜の相転移温度についての調査については、高温X線回折によって種々の温度で結晶構造を調べることによって行った。その結果、HfO2基薄膜が5nm程度という極膜厚においても300℃以上の高いキュリー温度を持っていることが分かった。 (3)HfO2基薄膜におけるドメインスイッチングについては、電圧印可によって結晶軸がどのように変化するかについて、微小領域X線回折を用いて調査した。その結果、電圧印可前後で基板面直方向の結晶軸が非分極軸から分極軸に変化していることを明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エピタキシャル薄膜の組成・膜厚依存性やキュリー温度は、相の安定性を操作する本研究において重要な因子であると考えられ、この調査ができたことは今後の研究に有用であるといえる。また。ドメインスイッチングは重要な電場誘起構造変化であり、これを利用することでさらなる特性発現が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、キュリー温度を室温付近まで低下させることによって、室温付近で相転移を示す材料の設計・作製に取り組む。このことによって、電場誘起相転移を引き起こし、巨大な誘電応答・電気会応答の発現に取り組んでいきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた装置の購入を検討したが、学内にて継続して使用できるめどが立ったため。
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