研究実績の概要 |
現在主流のフェライト磁石の母物質はLa-Co共置換SrM型フェライト(Sr1-xLaxFe12-yCoyO19)である。Co2+の導入が磁気異方性を増強し、保持力の増大につながっている。しかし、電荷補償のために導入しているLa3+がFe2+の生成を促し、それが一部のCo2+の置換を阻害している疑いがあった。本研究では、Co2+を効率的に母物質に置換される条件を探索することを目的として反応時の酸素分圧に着目し、酸素分圧とCo2+の置換上限について検討を行った。 酸素分圧をpO2 = 0.2(大気圧), 1.0(O2ガス気流), 387(熱間等方圧加圧法HIP) atmと変化させ、それぞれについてLa-Co共置換SrM型フェライトを固相反応法により合成し、得られた試料の分析を行った(粉末X線回折による相同定、波長分散型X線分析による組成分析)。これにより、酸素分圧を上げるほどCo1+置換上限は増大し、大気圧での上限がy = 0.3程度であったものが、O2ガス気流中ではy = 0.7、HIPではy = 1となった。特にHIPで合成した試料ではSrを含まないLaFe11CoO19の合成に成功した。 また単相及び不純物相が少ない試料について磁化測定を行い、異方性磁界を評価したところ、Co1+濃度の増加に伴い、単調に増加することが確認された。特筆すべきこととしてCo2+高濃度の試料では非置換のものに比べて2倍以上に増大したことが挙げられる。
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