化成品産業やエネルギー産業といった様々な分野における触媒や吸着剤として利用が期待される、超大細孔ゼオライトの従来合成には、ゼオライト骨格構造形成に寄与するゲルマニウムとテンプレートの添加が必要な場合が多く、ゼオライトの大量製造プロセスの煩雑化とコスト高が不可避である。本研究は、種結晶添加技術を利用し、超大細孔ゼオライトのゲルマニウム及びテンプレートフリー合成法の開発を目指して研究を実施した。研究期間中では実験と並行して文献調査と関連する国内・国際学会への参加を行い、国内外の研究者とのディスカッションを交えながらゼオライトをはじめ様々な多孔質材料に関連する最先端の技術動向を収集し、それらを踏まえながら研究を実施した。超大細孔ゼオライトのゲルマニウム及びテンプレートフリーで結晶化させるための前駆体形成と核生成・結晶成長の制御因子等を見出すために、モデルゼオライトの種結晶添加合成において、種結晶が最終生成物に及ぼす影響について検討し、多角的な分析手法よりゼオライト水熱合成環境における種結晶の状態について検討と結果の考察を実施した。得られた実験情報を活かして、有用なゼオライトの簡易合成技術の発展に貢献するため、研究を今後も進めていく予定である。
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