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2018 年度 実施状況報告書

イオン伝導制御を用いた革新的水素貯蔵材料の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K14827
研究機関北海道大学

研究代表者

礒部 繁人  北海道大学, 工学研究院, 准教授 (10564370)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード無機系水素化物 / 添加物効果 / イオン伝導
研究実績の概要

本研究では、リチウムアミド・イミドなど無機系水素化物に代表される高重量水素密度の水素貯蔵材料を取り扱った。これらの材料は、従来の水素吸蔵合金に比べて反応速度が著しく遅い。この原因は、水素吸蔵放出反応時の原子の移動現象にある。ほとんど水素の移動だけで吸放出できる水素吸蔵合金に対し、無機系水素貯蔵材料の多くは、反応に水素以外のイオン(または原子)の長距離移動が伴い、これが遅い反応速度の主因である。そこで,本研究では、材料を構成する水素以外のイオンの移動を促進することで、その水素吸蔵放出反応速度を大幅に向上させ、車載用水素貯蔵材料の実用化を目指した。結果として,リチウムアミド・イミド系材料にはチタン酸リチウムなどを添加することで,水素放出反応速度が向上した。この反応速度向上はリチウムイオン電導度の向上と強く相関することが判明した。一方,リチウムマグネシウムアミド・イミド系材料では,チタン酸リチウムなどを添加しても水素放出反応速度が向上せず,律速がリチウムの拡散以外にあることが推察できた。他にも,リチウムアラネート系材料には,チタン酸リチウムを入れることで水素放出反応速度を向上させることが出来たが,リチウムイオン電導度の向上とはほとんど相関が見出せなかった。即ち,無機系水素化物の水素放出反応の律速はそれぞれ異なり,リチウムイオンの拡散が律速となる場合にチタン酸リチウム等の添加物が,その反応速度向上に有効であるという知見が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定の計画は順調に進行した。リチウムアミド・イミド系材料,リチウムマグネシウムアミド・イミド系材料,リチウムアラネート系材料,の三種を母材として,チタン酸リチウム,マンガン酸リチウム,チタン酸マグネシウム,の三種をそれぞれ添加し,水素放出挙動およびそれとリチウムイオン電導度の相関を系統的に調査することができた。特に,リチウムアラネートを母材にした系では,添加物を母材に混合する際のボールミリング処理が,イオン電導度の上昇に強く関与することが分かった。具体的には,母材だけをボールミリング処理した場合,処理時間の増加に伴ってイオン電導度の上昇が観られた。このイオン電導度の上昇について,考察するため,処理時間の増加に伴う,比表面積の変化,結晶子サイズの変化を調査した。結果,イオン電導度の上昇と比表面積の増大に相関が見出された。つまり,リチウムイオン伝導は,バルク内部よりも表面で起きやすく,その結果,水素放出反応速度も向上させることが出来ると考えられる。このような結論は,当初の予想を上回る成果であると考えられるため,「おおむね順調に進展している」と自己評価する。

今後の研究の推進方策

添加物の種類を多様化し,より水素放出反応速度向上に寄与する材料の探索が今後の課題である。具体的には,複合遷移金属酸化物を想定する。

次年度使用額が生じた理由

平成30年北海道胆振東部地震の影響で,使用予定の実験装置の修繕および調整が必要となり,計画していた実験の一部
が遅延した為。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] LiAlH4/h-BN複合物質の水素放出機構の検討2019

    • 著者名/発表者名
      中川祐貴, 礒部繁人, 柴山環樹
    • 学会等名
      日本金属学会・2019年春期(第164回)講演大会
  • [学会発表] Li-Mg-N-H系水素貯蔵材料の反応速度に対する添加物効果2018

    • 著者名/発表者名
      今七海, 礒部繁人, 大木崇生, 橋本直幸
    • 学会等名
      日本金属学会・2018年秋期(第163回)講演大会

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公開日: 2019-12-27  

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