研究課題
Al-Cu金属間化合物を酸やアルカリ溶液に浸漬させAlを溶出させるリーチング処理により、数10nm以下の間隔で双晶欠陥が存在する組織をもつナノポーラス銅を作製した。またリーチング条件を調整することで、さらに双晶境界の間隔が数nm間隔の高密度なナノ双晶欠陥を有するナノポーラス銅を作製し、それらは酸化やCO酸化に対し高い触媒能を示した。XRDやTEMによってナノポーラス金属組織の詳細な評価を行い、ポーラスCu中の結晶ドメインは隣のドメインと90度の特異な方位関係をもった組織であることがわかった。特にCu内の双晶境界が111面に沿って存在し、その数nm間隔の高密度な双晶欠陥がポーラス組織の表面まで存在することで、その表面は211面で形成された数nmの凹凸で形成されている特異な組織であることがわかった。またDFT計算により、数nmの凸凹の表面組織は酸素などを吸着しやすいサイトである結果が得られた。また母合金のAl2Cu金属間化合物の単結晶を一部リーチング処理して得たリーチング界面のTEM観察では、Al2Cuの正方晶の方位関係に起因してリーチング後のポーラス組織の結晶ドメインの方位関係が形成され、さらにナノ双晶欠陥が特異な角度関係で導入されている様子を観察した。これらの知見は、金属触媒の触媒能を向上させるのに双晶欠陥などの欠陥組織が重要なファクターであることを示す結果であり、またを今後ナノ双晶などの特異な結晶欠陥組織の形成を制御する上で非常に重要な知見になりうる結果である。
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