研究課題/領域番号 |
17K14841
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
仁野 章弘 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (80451649)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 炭化タングステン / 窒化珪素 / 通電加圧焼結 / 硬さ / 破壊靭性値 / ヤング率 |
研究実績の概要 |
通電加圧焼結中の収縮状況をモニタリングし、収縮挙動の解析を行った。約1300、1500 ℃で収縮係数のピークが確認された。1300 ℃のピークは液相出現による固相粒子の再配列によるものと考えられる。1300 ℃のピークは、WC量が多くなると相対的に液相量が減少するためピークは小さくなった。 焼結体の密度は、アルキメデス法により測定を行った。焼結温度1500 ℃および1600 ℃の各種温度で緻密な焼結体が得られた。WC量が増加しても焼結体は緻密には焼結していたが、WC量が60 mol%以上になると僅かではあるが相対密度が低下した。焼結体中の焼結助剤量が相対的に減少したことに起因しているのではないかと考えられる。 焼結体の構成相は、X線回折法により調べた。構成相は、α-Si3N4、β-SiAlONとWCからなっていた。原料粉末として加えたSi3N4とWCの反応生成物は確認されなかった。1500 ℃では大部分がα相となっており、1600 ℃ではWC無添加の場合、ほとんどがβ相であった。α相率は、焼結温度が1500 ℃の場合、WC量の増加により僅かに増加し、1600 ℃の場合、20 mol% WC添加で大きく増加し、更なるWC量増加により僅かに増加した。WC存在下においても、α-β相変態は、焼結温度による制御が可能であった。 Si3N4はWC無添加では焼結温度1500 ℃の場合粒状組織となり、一方1600 ℃では板状組織となった。WCを加えるとこの板状粒は消滅し、微細な粒状組織となった。WCの複合化は組織の微細化に有効である。 ヤング率は、焼結温度1500および1600 ℃で作製した焼結体いずれにおいてもWC量により増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
焼結助剤を添加したSi3N4-WC複合セラミックスの合成を1500および1600 ℃で行い、収縮挙動の評価を終えた。さらに、各種組成の焼結体の密度測定、構成相の同定、微細組織観察、ヤング率の測定を行い、WC量による変化を調べており、当初計画通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
焼結助剤を添加したSi3N4-WC複合セラミックスについて、機械的性質である硬さ、破壊靭性値の測定を行い、WC量との関連性を明らかにする。また、ビッカース圧子押し込みによるき裂進展状況を調べ、破壊靭性との関連性を調べる。 焼結助剤無添加での固相焼結によるWC-Si3N4セラミックスの合成を試みる。適正なSi3N4量を探りながら合成を行い、焼結中の収縮挙動について調べる。得られた焼結体は、密度測定、構成相の同定、微細組織観察、ヤング率、機械的性質の測定を行い、WC量との関連性について明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
業者に消耗品を発注した際、請求時に見積金額よりも1円少なく請求されたため。 翌年度分の消耗品費として使用したします。
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