研究課題
2019年度においてはこれまでの活動に対して追解析を行い,2018年度までの成果を補填したうえで論文としてまとめた.論文はElservier社のInter national Journal of Mechanical Sciences(IF:4.134)に受理され掲載をされた.本研究は硬・軟質2相よりなる高強度鋼の異方性を制御することで曲げ強度を向上させようとするものである.硬質相をファイバー状にすることで塑性異方性を設け,これを積層することで複合材料のような曲げ,伸びの連成変形を狙った.具体的な活動として,この3年間においてその条件を数値シミュレーションにより求めてきた.初年度においては主として仮想2相組織鋼の生成プログラムを作成した.実際の等軸金属組織を模擬し,かつ,その延長として硬質組織の延伸や連結を再現できるものとして数値シミュレーション用の入力モデルを生成可能とした.次年度においては硬質組織の損傷まで組み込んだシミュレーションを実施した.この結果として,硬質組織の延伸により異方性は発現するものの,最大引張強度付近ではほぼ同様の流動応力となることが新たに判明した.さらに,延伸により硬質組織の変形を増すほどに強度が低下することも分かった.これは当初の予想とは異なる結果となる.残念ながら曲げ強度向上を硬質組織の形態制御では実施できない結果となったが,複合材料のような弾性応答とは異なる新たな知見を得ることに成功した.2019年度においては冒頭の通りである.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
International Journal of Mechanical Sciences
巻: 163 ページ: 105133~105133
https://doi.org/10.1016/j.ijmecsci.2019.105133