定容法を用いて溶媒の亜臨界・超臨界条件下における芳香族化合物のゼオライト結晶内拡散係数測定手法を確立した.200℃以上の温度領域ではピュアシリカゼオライト(silicalite-1,Si-beta)結晶内の芳香族化合物の拡散係数は低下し,臨界温度付近で拡散係数が極小値をとった.臨界温度付近では拡散分子‐溶媒分子間のクラスター形成が考えられ,ゼオライト細孔入口での拡散抵抗が大きくなり拡散係数の低下につながったと考えられる.また,ゼオライトの酸量が増えることでトルエンの拡散係数は大きくなったことから,ゼオライト外表面酸点への吸着によりクラスター形成が抑制されたと考えられる.
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