研究課題/領域番号 |
17K14863
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
太田 英俊 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 助教 (90532094)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リグニン / フェノール類 / 水素化脱酸素 / 芳香族炭化水素 / 固体触媒 / Pt / 表面修飾 / 反応機構 |
研究実績の概要 |
これまで化石資源から得ていた基幹化学品原料を再生可能なバイオマスから製造するプロセスの開発は重要である。特に、ベンゼン・トルエン・キシレン等の芳香族炭化水素は様々な有用化学品の原料として重要であるが、化石資源から得る以外に経済採算のとれる実用的製造法がなく、その製造プロセス開発は急務である。未利用バイオマスであるリグニンは、そのフェノール類への分解と続く脱酸素化により芳香族炭化水素に変換できるため、本プロセスの原料として最適である。リグニン分解によるフェノール類の製造は近年温和な技術が多数報告されているが、フェノール類の芳香族炭化水素への変換は今尚過酷な反応条件(一般的には高圧水素ガス下300 ℃以上)を必要とする高コスト・低安全性のプロセスであり更なる改良が求められている。 研究代表者はこれまでに、フェノール類を脱酸素化して脂肪族炭化水素に変換する世界一温和な固体触媒反応(常圧水素ガス下100 ℃前後)を報告している。本研究では、この成果を基盤にして、従来にない温和な条件下で進行するフェノール類の芳香族炭化水素への変換反応を開発する。また、その反応機構を解明し、得られた知見を活かしてより高活性な触媒を開発することを目的としている。 平成29年度は、代表者が開発した世界一温和な条件下でフェノール類を脂肪族炭化水素に変換するPt/H-ZSM-5触媒の表面を種々の有機分子で修飾し、フェノール類の脱酸素化反応の生成物分布に与える影響を調査した。その結果、Pt/H-ZSM-5をイオン液体[bmim][OTf]で表面修飾すると、芳香族炭化水素が反応の主生成物になることを見出した。触媒の表面分析と反応中間体を用いた対照実験を行い、反応機構に関する知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の実施計画では、(1)温和な条件下でフェノール類を芳香族炭化水素に変換可能な触媒の探索および(2)触媒の分析と反応機構の調査を目的としていた。本研究はこの計画どおりに進行しており、現在論文作成を行っている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究成果から、フェノール類を芳香族炭化水素に選択的に変換するための触媒の設計指針を得ることができている。今後はその設計指針に基づき、より高性能な触媒を開発する予定である。申請時の研究計画に記載したように、早い段階で芳香族炭化水素を収率99%で合成できる触媒を開発できた場合には、より難度の高いリグニン関連化合物を用いた検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は焼成炉(10-20万円)や特注の石英製容器(10万)などを購入する予定でしたが、以前から所有している分析機器(ガスクロマトグラフ、触媒反応後の分析に必須)の調子が悪く、突然の故障に備えて修理費用(物品費、業者作業費)を残しておく必要があり、次年度使用額が生じました。平成30年5月に当該機器の修理を行う予定であり、それ以降に必要な物品の購入を進めたいと思っております。
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