再生可能なバイオマス資源から化学工業において重要な芳香族炭化水素を製造するプロセスの開発は重要である。リグニンは豊富に存在する未利用バイオマスであり、その一次分解物であるフェノール類を脱酸素化して芳香族炭化水素を得る触媒反応が注目されている。しかしながら、従来法のほとんどは過酷な反応条件(一般的には高圧水素ガス下300 ℃以上)を必要とする高コスト・低安全性のプロセスである。本研究では、常圧水素ガス下110 ℃の温和な条件下でフェノール類を芳香族炭化水素に変換する触媒反応の開発に成功した。また、開発した触媒の分析と反応機構研究により、目的とする変換に有効な触媒の設計指針を得ることに成功した。
|