研究課題/領域番号 |
17K14864
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大野 聡 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (60755734)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 代謝工学 / 代謝フラックス解析 / メタボローム分析 / 哺乳類 |
研究実績の概要 |
代謝工学技術の他分野への応用が加速し、代謝フラックス解析手法も生理学や医学への応用が期待されている。本研究では、非定常状態における生体内臓器を対象とした代謝フラックス解析法を新規に開発し、糖負荷に対して動的に応答するマウス肝臓の代謝フラックスを推定することを目指す。野生型および肥満モデルマウスの推定結果を比較し、肥満に伴う代謝異常をフラックスの観点から解明する。さらに、フラックス・代謝物量・酵素量を統合した代謝調節解析により、フラックスの調節要因についても定量的に評価する。以上より、非定常状態下の生体内臓器のフラックス推定と、それを利用した代謝調節解析の基盤技術を、世界に先駆けて確立する。 平成30年度は野生型モデルマウスに対して、13Cグルコースを経口投与し、0-90分後の肝臓・血漿を採取した。肝臓・血漿のサンプルを電気泳動質量分析器 (CE-MS)を用いてメタボローム分析を行い、中心炭素代謝の30種程度の代謝物について、濃度および同位体割合を獲得した。平成29年度に獲得した野生型マウスのデータと比較して、解糖系代謝物の濃度が高い一方で13C標識されるのが遅い傾向がみられ、野生型と肥満モデルマウスの代謝の違いが示唆された。また、代謝調節解析について解析手法の開発を行い、脂肪培養細胞への適用を試みた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
野生型および肥満モデルマウスの肝臓の代謝フラックス解析を実施するにあたり、補助事業期間中にメタボローム・プロテオームの新規計測手法が他研究グループにより提案された。その計測データに関する数理解析・文献調査・情報収集・追加実験等が、補助事業の研究目的をより精緻に達成するために必要となった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、平成29, 30年度に取得したメタボローム・プロテオームデータを用いてマウス肝臓のフラックス解析を行う。さらに、得られたフラックス解析結果を用いて代謝フラックスに対する代謝物量・タンパク量の寄与を定量的に記述し、マウス肝代謝が何によって制御されているのかを明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該研究の実験を他のプロジェクトと共同で行うことになり、予定していた支出と比較して差額が生じた。また、前述した理由により、次年度も数理解析・文献調査・情報収集・追加実験等が必要となった。次年度使用額は追加実験等に使用し、補助事業の研究目的をより精緻に達成するために使用する予定である。
|