研究課題/領域番号 |
17K14875
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
青柳 潤一郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10453036)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | エレクトロスプレー / グリーンプロペラント / パルスプラズマスラスタ |
研究実績の概要 |
前年度までに大気中で作動を確認したエレクトロスプレー噴射装置は、真空中で液体の漏れがあったため、バルブを導入して真空中での液体漏れを抑制した。キャピラリは直径10マイクロメートル、30マイクロメートル、100マイクロメートルの3種類を採用した。 次に計画のとおりパルス放電型反応機構の設計・製作に着手した。電極形状は電磁加速型と電熱加速型の2種類とし、エレクトロスプレーの挿入方向は複数設定できるようにして、それぞれの場合による作動特性の違いがあるかを検討することとした。 エタノールを使った真空中での放電反応機構の評価試験(主放電発生の確認、主放電波形の取得、発生力積の測定)の結果、直径100マイクロメートルのキャピラリの場合、主放電が自発的・間欠的に誘起されて放電制御ができなかった。キャピラリからの駅的供給が過多だったためと考えられる。次に直径30マイクロメートルのキャピラリの場合、連続噴霧による電極間放電は起きなかった。ただし、キャピラリに電圧を印加せずに先端に液滴を留めた状態にした後、電圧印加させて液滴を飛ばすと主放電が発生した。また直径10マイクロメートルのキャピラリの場合、任意の条件で放電の発生は困難であった。液滴の供給量が過少だったためと考えられる。 直径30マイクロメートルのキャピラリにおいて、主放電により発生した力積を振り子式ターゲットで測定した。電磁加速型の場合、エレクトロスプレーのみの力積が平均21マイクロNsだったのに対し、主放電の発生によって力積は平均47マイクロNsまで上昇した。また電熱加速型においても、エレクトロスプレーのみの力積が平均126マイクロNsだったのに対し、主放電の発生によって平均144マイクロNsまで上昇した。これらの結果から、反応機構の主放電が力積向上に寄与していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
真空中での送液システムの構築に計画以上の時間を要したため。 またエレクトロスプレーのキャピラリからの液滴噴出による主放電の発生条件を明らかにするために複数の電極形状とエレクトロスプレー設置方向の組合せ試験を行い時間を費やしたため。および、制御が困難な自発的・完結的放電による電子機器の故障も頻発したため。
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今後の研究の推進方策 |
力積測定系を改修し、計測機器の故障を抑制できるよう進める。 また、放電反応機構の電極形状等やエレクトロスプレーとの配置を厳選し、真空中にてグリーンプロペラントの送液と放電反応機構へのエレクトロスプレー噴射を行い、主放電の誘起とそれに伴い発生する力積の測定を試みる。その結果から、パルス放電によるグリーンプロペラントの反応促進について評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画からの遅れにより、研究成果発表が十分に行えなかったため。 また、年度後半に実験計測系および真空装置の改修が必要になり、当該年度末までに間に合わなかったため。 この実験計測系および真空装置の改修は次年度に実施して、実験環境の整備による研究促進に充てる計画である。
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