本研究では、極低温液体である液体水素を海上輸送するための基盤技術の確立を目指して、海上輸送時における舶用液体水素タンク内部のスロッシングに伴う熱流動現象について解明する。本年度は、主に以下の研究成果を得た。
1.液体水素海上輸送実験:本年度は、液体水素海上輸送実験のデータ解析を行った。液体水素海上輸送実験では、液体水素タンク内部の温度・圧力、5本の超伝導液面センサーによる液面計測、また、タンクに加わる加速度、船体動揺等のデータを取得した。これらのデータを解析することによって、船体動揺に伴うスロッシング現象による液体水素タンク内部の温度上昇率、圧力上昇率、液体水素の蒸発量への影響を明らかにすることが出来た。
2.熱流体解析ソフトウェアSTAR-CCM+を用いた熱流体解析:本年度は、平成30年度に引き続き、STAR-CCM+を用いて、熱流体解析モデルの構築を行った。本年度では、STAR-CCM+を用いて、スロッシング時における液体水素の蒸発モデルの構築を主に行った。本解析では、Volume of Fluid(VOF)法を用いて、スロッシング時における液体水素の蒸発モデルの構築をすることが出来た。また、液体水素タンク内部の温度、圧力を主とした熱流体解析も行った。
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