研究実績の概要 |
本研究は、船舶において船舶において船底に溜まった油分を含む汚水であるビルジ水の分解処理を目指した液中プラズマ処理技術の開発を目的としている。液中プラズマは、水中の気泡内に大気圧プラズマを発生させる手法としてこれまでに水質浄化処理の研究が行われるなど着目されている。 本研究の3年目である令和元年度は、これまでに開発した実験装置を使用して炭化水素分解反応実験を継続して放電し、それによって生じる物質の調査、ならびに界面活性剤を溶解した水溶液での放電試験を行った。また、炭化水素分解実験で生じるスス様物質の量が1時間あたり3mg程度であるため、これを改善するために二次元電極の開発を行った。 炭化水素分解実験で生じた物質はラマン分光計測によって、1580cm^-1付近のピーク(Gバンド)および、1350cm^-1付近のピーク(Dバンド)を持つことが確認され、不純物を含む炭素であることが明らかとなり、放電によって分解された炭化水素の炭素が凝集したものと考えられる。 界面活性剤を利用した放電試験では、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ソフト型)を5wt%溶解させ放電を行った。 また、放電領域が対向棒電極のため、小さく微小(電極直径1mm, 電極間距離0.5mm)であることから、放電領域を拡大するため、二次元電極の開発に着手した。電極は、ステンレスメッシュを用いた対向電極(20メッシュ/インチ)を使用し、電極間距離は0.5mmにおいて、放電試験が成功した。 上記の油水模擬実験などの実験結果から、実験装置の開発として一定の成果を得た。
|