研究課題/領域番号 |
17K14887
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
津村 秀一 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (10782526)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | レーザ溶接 / 仮付け溶接 / ハイブリッド溶接 |
研究実績の概要 |
本研究ではレーザ・アークハイブリッド溶接(以降では単にハイブリッド溶接と称する)の溶接施工法についてレーザによる仮付け溶接に着目し、日本独自の溶接施工方法の開発を目的としている。(ハイブリッド溶接の導入で先行する欧州圏の造船所では、部材を精度よく配材するために大型付帯設備が用いられているが、ハイブリッド溶接の導入にあたってこの大型付帯設備のための投資コストが大きいことが懸念されている。)具体的実施内容は、a)仮付け溶接部の破壊クライテリアの同定、およびb)溶接変形に起因する仮付け溶接部の拘束反力の同定であり、研究の最終段階としてc)長尺継手(長さ1M)を用いた実証実験を実施する。今年度はa)を中心に実施予定であり、仮付け溶接の溶接条件について、過去の知見から実用的、且つ広範な条件となるよう実験条件の検討を行い、破壊試験に供する試験片の製作を行った。また曲げ破壊試験に必要な冶具の製作を行い、曲げ破壊試験の実施を行った。今年度の成果要旨は以下の通りである。 ・レーザ入射角度について、低角度とした方が施工中の外乱(狙い位置の変動、ギャップの増大等)に強く、ロバストな条件になると考えられる。 ・レーザ前進(後退)角度、および溶接速度が仮付け強度に与える影響と、レーザパワー密度が仮付け強度に与える影響を比較すると、レーザパワー密度が仮付け強度に与える影響の方が大きい。 ・レーザにより溶融・再凝固した組織は母材よりも硬く、500HVを超える箇所も確認された。 ・仮付け溶接部の破壊に際しては、仮付け溶接部に極めて局所的な応力集中が発生し、一部実験条件では仮付けされ部材にはほとんど伸びが生じないまま仮付け部が破壊に至る事例が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
仮付け溶接の溶接条件について、過去の知見から実用的、且つ広範な条件となるよう実験条件の検討を行い、破壊試験に供する試験片の製作を行った。しかしながら、当初想定していた仮付け条件の一部で、部材の取付精度によっては仮付け溶接が行えず、部材の接合が行えないことが判明した。実験条件の再検討を行うとともに、追加の試験片製作を行う必要があり、破壊試験が未完了であることから進捗状況を「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
追加実験を行い、仮付け溶接部の破壊のクライテリア同定を完了する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度未達部分を実施するために研究補助人材を確保しその人件費に充てるとともに、追加試験に必要な実験消耗品の購入を行う予定である。
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