研究課題/領域番号 |
17K14888
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
梅田 隼 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (30757563)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 波力発電 / 粘性流体力 |
研究実績の概要 |
波力発電装置(WEC)には様々な形式が存在するが、Point Absorber型と呼ばれるWECは発電効率を向上させるため、広範囲の波に共振させる機能(同調制御)を発電機構(PTO)が備えている。同調制御のパラメータはWECの運動方程式の係数により決定するため、正しく同調制御を行うにはWECの流体力の精度良い推定が重要となる。しかし、推定するのが難しい粘性流体力は無視されており、どのような特性で、発電量にどのように影響するかは検討されていない。そこで、リニア発電機をPTOとするリニア式波力発電装置を対象に、粘性減衰力の特性および粘性減衰力がWECの制御および発電量に及ぼす影響について数値計算および水槽試験により調査する。一年目には数値計算による検討を行った。まず、浮体寸法および運動周波数をパラメータとして境界要素法による流体力計算を行い、対象とするWECの浮体形状の決定を行った。同時に、浮体とPTOを統合した時系列発電シミュレーションを作成し、粘性影響を考慮しない場合で規則波および不規則波中での発電量評価を行った。シミュレーション結果は既存の数値計算と一致し、妥当性を確認できた。 CFD用にPCクラスタを構築し、PCクラスタによる大規模並列計算で2000万要素を超える場合でも解析可能であることを確認した。このPCクラスタを用いて、検討した浮体形状で強制動揺試験のCFD計算を行い、粘性減衰力の推定を行った。粘性減衰力は周期の依存性は低く、運動振幅の影響が大きい傾向となった。その原因CFDの計算結果を可視化して考察すると、振幅が小さいとき、浮体底面から生じた渦の直径は小さいが、その渦が浮体底面に付着し、負圧になることで減衰力が大きくなる。一方で、振幅が大きいとき、生じた渦は大きくなるが、浮体底面から離れているため、その影響は小さくなるためと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CFDによる計算を行ったが、既存の実験に比べて値が大きく、精度が十分でない。水槽試験とCFDの結果から流体力データベースを作成し、回帰式を作るため精度が必要である。CFDではメッシュの見直しおよび高精度なLES計算に切り替えることで,CFDの計算精度を向上させる。
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今後の研究の推進方策 |
まずは規則動揺時を中心とし粘性流体力の特性調査を行う、対象とする浮体模型を作成し、水槽試験で粘性減衰力の計測を行う。さらに流場の可視化を行い、その流体力特性のメカニズムを考察する。CFD計算ではURANSではなく、LESに切り替え、渦剥離を正確に評価できるモデルを使用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定よりも計算機が安価で購入できたため. 次年度に行う水槽試験で使用する模型などの物品購入に使用する
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