研究実績の概要 |
波力発電装置(WEC)には様々な形式が存在するが、Point Absorber型と呼ばれるWECは発電効率を向上させるため、広範囲の波に共振させる機能(同調制御)を発電機構(PTO)が備えている。同調制御のパラメータはWECの運動方程式の係数により決定するため、正しく同調制御を行うにはWECの流体力の精度良い推定が重要となる。しかし、推定するのが難しい粘性流体力は無視されており、どのような特性で、発電量にどのように影響するかは検討されていない。そこで、リニア発電機をPTOとするリニア式波力発電装置を対象に、粘性減衰力の特性および粘性減衰力がWECの発電量に及ぼす影響について数値計算および水槽試験により調査する。 水槽試験を行い流体力の計測、流場の可視化を行った。振幅が大きくなるにつれて、流体力が大きくなる傾向が確認できた。流場の可視化から振幅が大きくなるにつれて剥離渦が大きくなり,減衰力係数が増加することが明らかになった。理論計算が可能な造波による流体力は振幅ではほとんど変化しない。周期に依らずこれらの傾向は同じで、短周期では振幅依存性が強くなることが確認できた. 既存の研究で行われた実験解析法の見直しを行い、実験によって傾向が異なっていた原因を考察した。次にCFDによる数値計算を行った。CFDでは実験と比較して妥当性を検討し、さらに詳細な流場の解析を行った. また,実験では実施できなかった条件も試行し、幅広い条件でのデータを取得できた。これらをもとに, 粘性減衰力を推定する回帰式を作成して、 発電性能評価に取り入れて考慮することでどの程度発電性能に影響するか評価した。
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