電子線や希ガスイオンを照射して形成される空孔型欠陥および照射後熱処理による2次欠陥の形成挙動の違いについて,陽電子消滅法を用いて調べた.タングステンへのHeイオン照射とNeイオン照射を比較した結果,照射直後に存在する欠陥種は同一であることが示唆されたが,それらを熱処理するとNeイオン照射の場合には空孔が凝集し空孔集合体を形成する様子が観測された.水中電子線照射したタングステンからは空孔-水素複合体と思われる欠陥が観測され,その欠陥複合体は623 Kから解離し始め空孔集合体を形成していく様子が観測された.また,試料純度が低い場合には熱処理過程における空孔集合体の形成が抑制される様子も観察された.
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