研究課題
本研究では、直線磁化プラズマ乱流実験において、 乱流(ドリフト波タイプ)と流れ(帯状流)に加えて、乱流よりも寿命が長く、周方向及び径方向にローカルな構造である“孤立渦”のダイナミクスを解明することを目標としている。令和元年度では、以下の成果を得た。外部制御パラメータである磁場強度(ラーマ半径)・中性粒子ガス圧(イオン-中性粒子衝突周波数)を変化させ、乱流と帯状流の強度マップを作成した。孤立渦が形成された条件は、帯状流強度が相対的に小さい条件であった。孤立渦は流れに大きな影響を及ぼすことが分かっているため、帯状流強度が小さい場合においても、孤立渦形成により、乱流輸送が大きく変化する可能性があることを明らかにした。平成30年度の研究成果で得られた、乱流よりも寿命が短く、周方向及び径方向にローカルな構造である“飛沫”構造について、新規解析方法開発により、飛沫のより高時間分解能な2次元構造を得た。この構造は、ラーマー半径よりも小さい構造を持っていた。これまでのバイスペクトル解析の結果とあわせて、“飛沫”は、孤立渦構造と同期して形成される“コヒーレントな構造”を持つことが分かった。S/Nの良い流れ計測を行うため、トモグラフィーの技術を応用したベクトルトモグラフィーをレーザー誘起蛍光法(LIF法)へ適用した。乱流数値シミュレーション結果を用い、多点ラングミュアプローブとLIF法との条件付き平均により、計測を行った際に得られる結果を模擬した。結果、準秩序構造を持つ乱流条件において、レイノルズ応力が再現可能なことを明らかにした。実証実験も同様に行い、これまで得られなかったプラズマの端部分において、平均流速の観測に成功した。局所乱流構造の観測には、より統計量を増やす必要があり、レーザー機器の長時間(数時間以上)の安定化が課題となることが分かった。
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IEEJ TRANSACTIONS ON ELECTRICAL AND ELECTRONIC ENGINEERING
巻: 14 ページ: 1450-1454
10.1002/tee.22962