研究課題/領域番号 |
17K14898
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
小林 達哉 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (30733703)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | プラズマ乱流 / LH遷移 / 帯状流 / 測地線音波 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,トーラスプラズマにおいてL-H遷移の際に発生する電場の生成機構を実験的に明らかにすること,及び,電場と乱流の相互作用を解析し,乱流輸送抑制のメカニズムを明らかにすることである.本年度は,新規実験データ解析を行う前に,過去のデータを解析することから研究を開始した.JFT-2M装置において,L-H遷移の際の電場と乱流の時間発展を重イオンビームプローブで計測したデータを解析した.Lモードプラズマの周辺部分では帯状流の高周波数振動チャンネル(測地線音波)が観測されることが報告されている.測地線音波は線形安定なモードであり,励起機構として流体的な非線形作用が支配的な役割をはたすことが理論的に予言されているが,未だ定量的な検証はなされていなかった.本研究では,乱流のレイノルズ応力が測地線音波を励起する効果及び乱流粒子輸送が密度揺動チャンネルを通して測地線音波を励起する効果を定量的に見積もり,比較した.その結果,JFT-2MのLモードプラズマにおいては,乱流レイノルズ応力が寄与する割合が高いことが定量的に明らかにされた.また,測地線音波のエネルギーの時間発展の立ち上がり時間をフィットして求めた成長率と,レイノルズ応力による成長率を比較した結果,同オーダーになることもわかった.このことは,乱流がレイノルズ応力を介して自発的に測地線音波を励起していることを示している. また,過去のデータ解析と並行してスペインのプラズマ閉じ込め装置TJ-IIにおいてのデータ解析も開始している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
JFT-2Mにおける過去のデータ解析により,当初想定した以上の精度で測地線音波の理論検証を行うことができた.また,スペインのTJ-II装置との共同データ解析研究も予定通り開始され,低周波数帯状流の空間構造の周波数・実験条件依存性に関する興味深い知見が得られている.
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今後の研究の推進方策 |
現在解析を進めているTJ-IIの,低周波数帯状流の空間構造の周波数・実験条件依存性に関する論文を執筆する.また,追加実験を実施し,具体的にどの物理量に依存して低周波数帯状流の構造が変化するかを解明する.低周波数帯状流の空間構造に関しては,これまで理論的予言は存在したが,これを検証する実験データが非常に限られていた.本研究を発展させ,空間構造に関する定量的な評価を様々な実験条件において行えば,理論モデル検証を行う上で有益なデータベースを構築することができる.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入の端数が残額となった.学会参加旅費や学会参加費等に使用する予定である.
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