研究課題/領域番号 |
17K14903
|
研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
木崎 雅志 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (70598945)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 負イオン源 / ビーム光学 / 引出界面 / イオン性プラズマ |
研究実績の概要 |
これまでの研究から、バイアス電圧を変化させるとプラズマ電位の空間構造、プラズマ電極近傍の電子密度及び負イオン密度が変化することが明らかにされている。つまり、プラズマ加熱用水素負イオン源では放電電力と導入ガス量の他に、バイアス電圧もビーム引出界面の形状の制御パラメータとして機能することを示唆している。そこで、平成 29 年度は負イオンビーム光学とバイアス電圧の関係を調査した。様々な放電電力においてバイアス電圧を変化させて、ビーム幅を計測した。その結果、放電電力が大きくなるほど、ビーム幅が最小となる最適なバイアス電圧が高くなった。これは、放電電力が大きくなるとプラズマ密度が高くなるため、最適なプラズマ密度を達成するためにより高いバイアス電圧が必要になると解釈できる。さらに、この実験において、パービアンスの変化を調べると、放電電力とバイアス電圧の組み合わせに依存して最適なパービアンスが変化することが明らかになった。これに対して、プラズマ中の負電荷に占める電子と水素負イオンの割合が重要な役割を果たしている可能性を示唆する結果を得た。 さらに、45 本の探針を有するマルチプローブアレイを製作し、水素負イオンビームが加速途中に加速器中の残留ガスと衝突することで生成される逆流正イオンビームの空間構造を計測した。様々なプラズマ放電・ビーム生成条件で計測を行い、作成中の計算コードのベンチマークに必要なデータを取得した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ビーム引出界面の形成にプラズマ中の電子密度と負イオン密度の比が重要な役割を果たすことを示唆する結果を得た。しかしながら、十分なマシンタイムを確保することができず、当初予定していた負イオンを含むプラズマのシース長計測を実施できなかったため、やや遅れていると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
負イオンを含むプラズマ中のシース長を計測するために、小型テストチェンバーを構築し、計測システムの最適化を行う。計測システムを構築した後に、大型水素負イオン源へ適用する。平成 29 年度の結果から、電子密度と負イオン密度の比がビーム引出界面の形成にとってキーになると考えられるため、バイアス電圧を変化させて様々な密度比でシース長を計測する。その際、同時に一次元の炭素板を用いてビームの断面形状を計測し、シース長とビーム光学との関係を詳細に調べる。 平成 29 年度に作成した一次元の計算コードを二次元に拡張し、ビーム引出界面のモデル化を進める。
|