研究課題/領域番号 |
17K14904
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
松山 顕之 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 六ヶ所核融合研究所 核融合炉システム研究開発部, 主任研究員(定常) (90581075)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 逃走電子 / トカマク / ディスラプション / MHD / 輻射 / シミュレーション |
研究実績の概要 |
大電流トカマクのディスラプションで観測される逃走電子の発生に関し、電子分布関数のモンテカルロ計算を核とする統合シミュレーションを構築し、ITERにおける逃走電子発生量の予測および緩和手法の最適化に資する研究を実施する。平成30年度は前年度に開発に着手した逃走電子を流体として近似するモデルを採用した非線形MHDシミュレーションを完成させ、ITER規模の装置におけるディスラプションを模擬する長時間シミュレーションを実施した。同シミュレーションにはディスラプション緩和のために入射されるアルゴン不純物の原子分子過程、導入された不純物と逃走電子の衝突効果、発生した逃走電子の二次電子増幅に加え、熱クエンチ時の磁気面破壊の効果が取り込まれている。同シミュレーションにより、放射冷却に伴うMHDモードのトリガーから種電子の発生、プラズマ電流減衰、二次電子増幅による逃走電子ビーム形成までの一連の過程を扱うシミュレーションに成功し、熱クエンチ直後には磁場の乱れによって逃走電子が排出されるが、熱クエンチ後の磁気面再形成によって種電子がプラズマ中心に蓄積することがビーム形成にとって重要な過程であることを明らかにし、その成果をIAEA核融合エネルギー会議で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は4年計画の2年目であり逃走電子を流体として近似した場合の非線形MHDコードが完成した。これを基盤コードである逃走電子分関数を解析するモンテカルロコードと結合することで目的とする統合数値実験が実現できる。流体近似したモデルは今後、実装するモンテカルロコードの結果と比較する対象としても有用である。
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今後の研究の推進方策 |
現在のバージョンの非線形MHDコードは円柱プラズマを仮定しているがITERの条件に近づけるためD型プラズマ形状を記述するためのメトリックを導入する。また、令和元年度は当初予定の通り、ITERで採用されるペレット粉砕入射法の研究に着手し、ITERのベースラインである重水素とネオンの混成ペレットを考え、不純物のデポジション分布のモデルを非線形MHDコードへの入力に考慮した計算を実施する。これと並行し、1年間をかけて基盤コードである逃走電子分布関数解析のためのモンテカルロコードと非線形MHDコードを結合し、ハイブリッド手法によるディスラプション緩和の数値実験を実現する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の成果が当初想定していなかった招待講演に採択されるなど海外渡航のための旅費が予定より増加したため、物品購入を見送った分の残額が生じた。令和元年度に予定していた物品購入を行うなど当初計画通りの執行に努める。
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