研究課題
本研究では新規輝尽蛍光(OSL)材料として希土類添加ガラス材料の開発を目的としている。ガラスを母体材料とすることにより、透明かつ空間的に均一なOSL材料が容易に得られる利点がある。母体材料の透明性ならびに添加希土類イオンの発光中心および電荷捕獲中心としての働きを明らかにし、OSLガラス材料の応用および現象理解に繋げる事を目的とする。本研究の1年目では、数多くのガラス材料を検討し、そのOSL特性を含む蛍光体としての放射線応答特性の評価を行った。なかでも最も興味深いものは、CeイオンおよびSmイオンを共添加した材料である。Ceイオンは発光中心として働き、Smを共添加する事により青色刺激で近紫外領域に強いOSLを示した。一方でSmを共添加しなかったものはOSLを示さなかったことから、Smが捕獲中心としての働きをもつ事が考察された。初年度に材料開発を中心に行った事に対し、当該年度においては、イメージングプレート(IP)としての働きの検証を行うべく、読取り装置の構築を行い、実際に空間分解能の試験を行った。構築した読取り装置は、刺激光源として青(460 nm)、緑(530 nm)および赤(630 nm)のレーザーダイオードを用い、対物レンズを用いてサブマイクロメートルオーダーに集光させてサンプルをスキャンした。スキャン機構には高精度XYステージを用い、数マイクロメートルの位置再現性を実現した。同装置を用いて評価した結果、X線イメージングとしての空間分解能は、当初の想定通り不透明なIPよりも透明なものの方が高く、ガラス材料を用いる利点が実験的に明らかにされた。計画当初に予定していなかった所属の移動などがあったが、概ね順調に目標を達成した。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り、OSLイメージの読取り装置の構築を完了し、空間分解能の評価を行った。空間分解能は、フォトン統計の制限を受けない程度の出力が得られる場合は材料組成や感度に依存せず、母体材料が透明さが最も重要なファクターである事がわかった。
予定通り、OSL材料の基礎物理現象の理解のため、真空紫外励起スペクトルや光電導特性等を評価し、研究統括を行う。
当該差額分予算を消耗品の補充の為に充てていたが、当該年度中の補充は不要と判断し、次年度に繰り越す事が最善であると判断した。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 5件) 備考 (2件)
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http://mswebs.naist.jp/LABs/yanagida/Okada/index-jp.html
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