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2017 年度 実施状況報告書

スクリーニング検査のためのベータ線弁別プラスチックシンチレーションカウンタの開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K14913
研究機関福島県環境創造センター

研究代表者

菅井 裕之  福島県環境創造センター, 研究部, 副主任研究員 (90707001)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードストロンチウム90 / トリチウム / ベータ線 / プラスチックシンチレータ
研究実績の概要

新たに立ち上げられた研究機関において、研究するための環境作りとして、科研費の執行に関する規定並びに主要な装置類やプラスチックシンチレータ (PS)、放射線源などを整備した。そして、装置同士の接続端子の製作やノイズ対策を行い、放射線測定ができるようにした。
ガンマ線とベータ線を区別するための信号処理方法を考案し、株式会社 ANSeeN に依頼して専用の電子回路を製作してもらった。
薄い PS の放射線に対する応答性について基礎データ取得のため、次のような測定を行った。(1)ガンマ線を照射したときの応答、(2)ベータ線を照射したときの応答、(3)ガンマ線とベータ線を同時に照射したときの応答、(4)宇宙線バックグラウンドに対する応答。(5)(1)から(4)において遮蔽体を置いたときの応答。当初、薄い特殊な PS と厚い PS を組み合わせ、出力波形の違いを利用してガンマ線とベータ線を区別する計画であった。製作してもらった専用の電子回路を用いればそれは可能である。しかし、基礎データを取得してみたところ、薄い PS のみでも高い効率でそれら 2 つの放射線を区別できることが判明した。これは、意図していた以上に容易にベータ線用の検出器を製作できる可能性がある。また、適切な厚みの遮蔽体を使えば、ある程度ベータ線のエネルギーを選んで計数することも可能である。さらに、PS を使って空気中の放射性核種から放出されるアルファ線を計数できることも偶然発見した。このことは、核物質の処理施設におけるアルファ線用モニタなどへの応用ができる可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在の所属機関は2016年度に開所した新しい施設であり、科研費を獲得したのは自分が初めてであった。新たに立ち上げられた研究機関において、まずは科研費の執行に関する規定を固めていくことが必要不可欠であった。それと並行して物品の購入などの研究環境の整備を進めていったた。
また、購入した測定モジュールの仕様が想定していたものと異なっていたことが判明し、信号処理回路のマイナーチェンジをせざるを得なくなった。
これらのような理由のため、研究の進捗がやや遅れ気味となった。

今後の研究の推進方策

東京インキ株式会社が新規に開発した国産のプラスチックシンチレータ (PS) と使用予定であったサンゴバン社の PS の応答を比較して、ふさわしい PS を選定する。前者は大変に安価であるので、スペックに申し分なければ、検出器開発の幅が広がる。
2 つのタイプの検出装置の開発を考えている。(1)液体シンチレーションカウンタのシステムを簡易的に実現するプラスチックシンチレーションカウンタ、(2)ベータ線とガンマ線を区別して計数できるサーベイメータタイプの検出器である。それぞれのデザインを考案し、プロトタイプを開発する。その上で、濃度既知の液体の標準線源を測定し、実現可能性および測定可能な放射能レベルについてを探っていく。

次年度使用額が生じた理由

放射線測定用の電子回路の製作費用が想定の半額より優に安価に済んだ。その浮いた分を他の必要物品の購入に充てたが、それでも繰越金が発生する結果となった。
繰越金と平成30年度分の経費を合わせ、主として次のような用途に使う。
・(1)ベータ線とガンマ線の混在場においてベータ線だけを計数するための測定、及び(2)低エネルギーベータ線放出核種の分析のためのシンチレーションカウンターのための測定に対応するための信号処理回路のカスタマイズ ・(2)のシンチレーションカウンターの装置筐体の組み立て

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公開日: 2018-12-17  

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