研究課題
若手研究(B)
本研究ではダイヤモンドの衝突電離機構を明らかにすることを目指した。疑似縦型ダイヤモンドpinダイオードを作製し、電子ビーム照射下の電流―電圧特性から電荷増幅の指標である衝突イオン化係数の導出を試みた。電界強度~2MV/cmまでの電流―電圧特性評価を行ったものの、明瞭な電荷増幅は観測できなかった。派生テーマとして、作製したダイヤモンドpinダイオードの大きな内臓電位(~4.5V)に着目し、外部電圧なしで動作する放射線センサや変換効率の高い原子力電池などへ応用できることを見出した。
原子力学
本課題実施期間中に、当初目標としていた衝突イオン化係数の導出は達成できなかったものの、ダイヤモンドpn接合の内臓電位に着目した結果、高変換効率を有する原子力電池や外部からの印加電圧なしに動作する放射線センサなど、ダイヤモンドダイオードの新しい応用に関する知見が得られた。これらの成果は過酷環境で動作する耐環境性に優れるダイヤモンドセンサや、宇宙環境などの長期間電源の交換できないリモート環境で使用可能な電池などの実現に寄与するものである。