本研究は、粒子輸送計算コードに組み込まれた核反応モデルの不定性に起因する系統的不確かさ(系統誤差)を評価するにあたって、ブートストラップ法を用いてその評価結果の信頼性を推定することを目的として進めた。本年度は、ブートストラップ法に基づいた95%信頼区間の推定方法が輸送計算の系統的不確かさ評価において有効であるかを検証した。ブートストラップ法により求めた信頼区間は正規分布を仮定して推定した信頼区間と比べて幅が小さくなる傾向がみられるものの、計算結果が非正規分布を取る場合に適切にその信頼性を評価できることがわかった。本成果を日本原子力学会2019年秋の大会において口頭発表を行った。また、内部パラメータに不定性の幅をもつ中性子断面積モデルの開発を行った。実験値がもつ誤差の大きさに基づいて断面積モデルのパラメータの不定性を決定しており、このモデルを利用して行った遮へい計算の系統的不確かさを適切に評価できるようになる。この成果を核データに関する国際会議ND2019(2019 International Conference on Nuclear Data for Science and Technology)において発表した。
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