研究課題
本研究では、リン酸系正極材料に着目し、欠陥および結晶化度が電気化学特性に与える影響を明らかにすることで、電極材料の充放電サイクル寿命向上および充放電速度向上への新たな指針を得ることを目的とした。平成30年度では、オリビン型正極材料LiMPO4(M=Fe, Co)を対象として、結晶内欠陥制御を行い、その電気化学特性を評価することで、結晶内欠陥と電池特性の関係性の解明を行った。オリビン型リン酸鉄コバルトリチウム正極材料(LFCP)は高い反応電位から高エネルギー密度化が期待される一方、充放電サイクルに伴う容量劣化が課題である。この容量劣化要因解明に向けて、充放電前後におけるXPS分析および結晶構造解析を行うことで、LFCP結晶表面における電解液との不可逆反応による抵抗増大および、LFCP結晶の充放電過程におけるアモルファス化に由来していることが見出された。この容量劣化の抑制に対して、LFCP結晶内欠陥の付与および表面コーティングが効果的であることを明らかにした。さらに、LFCPに含まれるFe組成比および熱処理条件の検討によって、欠陥量および表面コーティングを制御する手法を見出した。本研究では、リン酸系正極材料への欠陥付与の手法を提案し、欠陥制御が電池特性の向上に有効な手段であることを明らかにしており、リチウムイオン二次電池の高性能化において貢献しうる重要な知見と成果が得られたと考えられる。
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