結晶シリコン太陽電池の高効率化および低コスト化のために膜厚を10um以下にすることで開放電圧の向上および材料使用量の低減を行うことが求められている。しかし、既存技術では困難で新規な手法や構造が求められる。そこで、本研究ではシリコンナノ粒子に着目し溶液中に分散、スピンコート法を用いて薄膜の作製を行った。本手法はスピンコート回転数やスピンコート回数によって膜厚を制御可能であることが明らかになった。しかし、作製した薄膜は多孔質で抵抗率が非常に高く太陽電池材料として不向きである。本研究は薄膜の低抵抗化のためにホットプレス法を提案した。一般的には、膜の低抵抗化には高温プロセス(900度程度)を必要で、作製コストが増加する。ホットプレス法は圧力と温度を同時に印加でき、温度は100度と低温で行うことが可能である。ラマン分光法で膜の評価を行ったところ、ホットプレス処理を行う前はシリコンのナノ化によるピークのシフトが確認できたが、処理を行うことで結晶シリコンのピークに戻ることが明らかになった。さらに、抵抗率も10分の1に低減することに成功した。一方、太陽電池応用のためには膜の欠陥密度を低減する必要がある。弗酸処理で表面を水素終端することで欠陥密度を一桁低減することにも成功した。 一方で、薄膜化に伴う光吸収の減少が考えられるそのため、光閉じ込め構造を形成する必要がある。表面にワイヤー構造を形成することに成功した。
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